東京永久観光

【2019 輪廻転生】

2017年 読書記録

<人文科学系> ★ゲンロン0 観光客の哲学/東浩紀 http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20170402/p1 ★勉強の哲学/千葉雅也 http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20170423/p1 ★1990年代論/大澤聡(一部のみ) ★中動態の世界/國分功一郎(途中まで) ★オウム真理教…

ウィトゲンシュタイン再読

旅行をすればするほど行きたいところが増えるかというと、人によるだろうが、私はそうでもない気がする。ところが本は、読めば読むほど読みたい本が増えていくのは明らかで、それゆえ、十分な読書というのは短い生涯においてきわめて難しいプロジェクトにな…

読書論

読書はそれ自体が目的なのだろうか、それともなにかの手段なのだろうか? 意識の高い人はこう問うかもしれない――「読書は消費なのか、投資なのか?」どうなのだろう。第2部の途中で止まっている『騎士団長殺し』を読むのもまた、目的なのか、手段なのか?面…

★リスクと生きる、死者と生きる/石戸諭(亜紀書房)

まさかあれほどの津波や事故が起こるとは思わなかった。だがそれに並んで、まさかこれほどの対立や憎悪や罵倒が続くとは思わなかった。すなわち「原発は危ない!/危なくない!」「福島には帰れる!/帰れない!」…。2011年からずっと。そんななか、この1冊…

★遺言。/養老孟司(新潮新書) 

リンゴであれイヌであれ、個物はすべてどこかが違っているが、それでもそれを同じ「リンゴ」「イヌ」と捉えるのは、言葉があってこそであり、人間だけがやること。他の動物には言葉がなく、したがって「同じ」もないはずだ、と養老さんは考える。そして、も…

オウムとは何だったのか?

「人は死ぬ、必ず死ぬ、絶対死ぬ、死は避けられない」。私のツイートのようだが、じつはこれ、麻原彰晃が説法において好んで繰り返した文句だという。(大田俊寛『オウム真理教の精神史』p.278) ……そうだったか。 そして著者は《オウムとはロマン主義的で全…

★塔と重力/上田岳弘

表題作を読んだ。現在の状況の何が最も気になるのかという点でやはり強く共感。とはいえ感想はうまく言えない。それでもここにこうしてなにかつぶやくのは、それを読んだという確信、そして今日もとりあえず生きているという確信を欲した、手探りなのだろう…

★あなたの人生の物語/テッド・チャン(再読)

再読したけど、まさに科学的空想が至上の域にまで練り上げられている感。これから何が起こるか私は全部知っているのだけれど、だからといって、抵抗はしないし、退屈もしない、それに自我が消えてしまうわけでもない、そんな境地とは?その境地。単純な例と…

★人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?/山本一成

将棋AI「ボナンザ」の作者山本一成さんの本。なるほど!と引きこまれる語り。そのわけは「知能って何?」さらには「知性って何?」といった核心をさくっと定義するような姿勢にあると思った。すなわち謎とのきわめて適正な向き合い方だろう。へえ〜と感じ入…

★わかりたいあなたのための現代思想・入門/小阪修平・竹田青嗣ほか

先日(9月1日)、ふとドゥルーズの「機械」という用語が浮かんで、80年代に日本で隆盛した現代思想への思いがかきたてられ、当時のガイド本『わかりたいあなたのための現代思想・入門』をアマゾンに注文してしまい(古書)、久しぶりに読んだ。クリアな内容…

★飼育・死者の奢り/大江健三郎

さっきひと眠りしたら、社会の劣化と深刻な恐怖におののく夢をみた。眠る前に大江健三郎の「飼育」を読み終えたせいだと思われる。江藤淳によるその短い解説も読んだせいだと思われる。こんな特異で強烈な反応をもたらすような小説に、近ごろあまり触れてい…

あなたの人生の物語/テッド・チャン

映画『メッセージ』は未見だが、原作「あなたの人生の物語」を昨日読んだ。ある地球外知性とのコンタクトが描かれ、それを通して浮かび上がってくるのは、なんと言語表記のはてしない可能性、かつまた物理表記のはてしない多様性だった!(私がときどき夢想…

★分析哲学入門/八木沢 敬

◎https://www.youtube.com/watch?v=ViK5iUTWzhsたとえば清志郎のこんな歌に心を砕く人が日本に1000万人はいるとして…『分析哲学入門』なんていう本に頭を砕く人はこの世にどれほど少ないことか。(今どきの民進党の支持率くらいではないか) * <追記 6.21…

お金教だという

苫米地英人さんというとテレビではいかにも怪しい人だが、『宗教の秘密』といういかにもわかりやすく低俗っぽいタイトルの本があって、何気なく読んだら、実際きわめてわかりやすいうえに、内容は高尚で、宗教の核心に触れた感がありありだった。イエスとユ…

転向とリツイートのマルコフ過程!

『世に棲む日日』に「きのうは勤王 きょうは佐幕」というくだりがあり、「きのうは近所 あしたは砂漠」という大滝詠一のフレーズが浮かんできて、まさか…偶然? と思ったが、どうも偶然ではないようだ。 「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba 物語」(『A LONG VACATION』)…

1864年、1941年、2017年

《国際環境よりもむしろ国内環境の調整のほうが、日本人統御にとって必要であった。このことはその七十七年後、世界を相手の大戦争をはじめたときのそれとそっくりの情況であった。これが政治的緊張期の日本人集団の自然律のようなものであるとすれば、今後…

★世に棲む日日/司馬遼太郎

このところ『世に棲む日日』(司馬遼太郎)を読んでいて、そこでは、黒船以降にわかに勢いづいた長州や薩摩の動きにより、日本の政治は一気に揺れ動くのだが、いま東アジア4月以降の激変もすごいものがある。1980年代末からベルリンの壁もソ連もあれよあれよ…

★存在と時間/ハイデガー

連休だし、ハイデガー『存在と時間』を読んでみることにした。光文社古典新訳文庫。驚くべきことに、読める。しかも面白くなくない。いやむしろ面白い。翻訳の中山元、おそるべしか(それにこの人、フランス語もドイツ語も堪能なのか?) 《現存在(ダーザイ…

★勉強の哲学/千葉雅也

千葉雅也『勉強の哲学』。敷居の低さが至高。中谷彰宏の本と変わらぬほど。いや中谷こそただのバカではなく来るべきバカなのかもと永遠の無根拠性にも陥る。とはいえ紙一重で私が中谷本でなく千葉本を信頼するところには、私の個人的偶発的ツイッターフォロ…

精神分析と仏教

なんでこうも生き辛いのかを、奇妙な理論で考え抜き、独自に答えを探り当て、だからみんなこう考えこう行えばそれをしのげるよと、教えてくれているのかもしれない点で、ブッダとフロイトやラカンとは似ているように思う。ブッダが宗教ならフロイトも宗教だ…

ツイッター進化論(随時変異)

毎日のエクササイズに1ツイートという感じになっている。体のために歩こう。心のために書こう。人間は体で生きているがは、心(脳)で生きてもいる。そして心は、実は、すべて言葉に支配されている可能性が高い。 ――「心はすべて言葉に支配されている可能性…

カルテット、火車

『カルテット』(TBSドラマ)については、松田龍平がいつも状況や自分や相手に対する諦め・もどかしさ・おかしさ・照れの混じった「くふっ」というかすかな笑いをしばしば漏らすのが印象に残ったことと、女性の来歴が謎という点から宮部みゆきの『火車』をふ…

★ゲンロン0 観光客の哲学/東浩紀

読み始めた。大きな期待をさらに大きく上回って面白い。根源的にして実践的、しかも明瞭。ここ20年ほど、それを探しつつも、なぜか見つからず、もうそういうものは出てこないということなのか、と思っていた「現代・世界・原理」が一気に説かれていく予感。…

『サピエンス全史』読み終えた

(ここからの続き↓) この本の素晴らしさは、専門家の知識を述べ立てるところにはない。誰もが知る現世人類の道程から「言われてみればそのとおり」の事実と評価をいくつも提示することだ。そのサピエンスの事実は決定的な驚愕に値し、しかもその評価の優美…

『サピエンス全史』(終盤)

(ここからの続き↓) この本は、人類が、社会や生活の基盤を、劇的に、しかも、幾度も、変容させてきたことを、思いがけない視点から、ありありと実感させるわけだが、下巻の終盤まで来ても、その勢いは衰えるどころが加速している。近代科学による激変、資…

村上春樹『騎士団長殺し』

読み始めた。これを買う70万とかいう読者のなかで、私は何番目くらいにこの本が「わかる」のか、それははななだ不明だが、それでもこの本が「好き」かどうかとなると、けっこう自信がある。各章のタイトルを目にしただけで、その世界にはまりこむ感あり。そ…

★サピエンス全史(下巻)

(ここからの続き↓) 宗教に関する考察。ここはさして新味もなかろうと思っていたら、完全に裏切られた。宗教の本質…というかむしろその単純かつ基本の事実が淡々と指摘されていくのが、決定的に面白い。「そういえばそうだ!」と今さら気づかされること、多…

さすが筒井康隆

「日本でも早く安楽死法案通してもらいたい」 * それはそれとして――格納容器、最大530シーベルトの線量推定 福島2号機(朝日新聞2月2日)圧力容器の真下に位置する格納容器の底、などという場所のことは、すっかり忘れていた。というか、どうしても忘れ…

★サピエンス全史(読書再開)

(ここからの続き↓) 貨幣について。貨幣が宗教や国家や文化を超えてユニバーサルであるという指摘に、「そういえばそうだ!」と改めて感じ入る。日本人もミャンマー人も米国人も中国人もIS人も、仮に互いの素性がまったくわからなくても、ドルだけは信用す…

★サピエンス全史/ユヴァル・ノア・ハラリ(柴田裕之 訳)感想

読み進めつつ、以下は感想。 期待を超えて面白い!現世人類の最大の特徴を言語とみるのは一般的ながら、著者はそれすなわち「虚構の思考」だとズバリ指摘して清々しいのだが、しかし最も深くうなずいたのは、その虚構思考こそが現世人類の同一種にあるまじき…