本
<文学> 黄金虫変奏曲/リチャード・パワーズ 現代文解釈の基礎 どこから行っても遠い町/川上弘美 雪沼とその周辺/堀江敏幸 後藤明生コレクション 1 前期1 ※「無名中尉の息子」を読んだ 「内向の世代」初期作品アンソロジー(講談社文芸文庫) ※後藤明生…
https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/11/17/000000 ↓ 『黄金虫変奏曲』(リチャード・パワーズ)再読開始。小説の全体を知った今では、やけに難しく詳しく書かれていたと思えたことごとくが、語り手にはぜひとも書かないわけにはいかない細部だった…
『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』ジューディア・パール ダナ・マッケンジー 松尾豊 夏目大 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS ツイッターを中断してでも読みたい本なんて あるわけないのに、今日の『因果推論の科学』はそんな奇跡を達成している。…
https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/10/14/000000 から続く パワーズ『黄金虫変奏曲』ついに読了しつつある。思いはあふれるが一つだけ言おう。 ――とぼとぼたどってきたこの豊穣さは、もう一度たどり直したときこそ、本当に身にしみるだろう。君や…
『いつか必ず死ぬのに なぜ君は生きるのか』 私が今ツイートかのような気になるが、じつは立花隆の著書から印象的な言葉を抜粋した新書のタイトル。 https://www.sbcr.jp/product/4815617165/ 第1章「人間とはなんだろう?」第2章「死とはなんだろう?」 書…
凪のような気分の夜もある(11月1日) * 夜更けに帰宅。上弦の月が今落ちていく。真っ黒な空。 区の図書館で哲学の棚にも行くがなかなかその気にならない。ところが先日は ふっと心が動いて『ベルクソン』と『アウグスティヌス』の小冊子に手が伸びた。NHK…
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480072924/ 『世界哲学史2』(ちくま新書) に大乗仏教の章がある。知識も関心も薄い領域だけど概観できればいいかと読み始めたら、どうもおかしい。なぜか「テクスト」が焦点になる。それまで口伝でしかなかっ…
https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/09/10/000000 から続く 「mRNA」って何? 超過死亡の謎をめぐり日本国民は今しも改めてそれに注目していいる――のだが、個人的に3か月もかけて読み進んできた『黄金虫変奏曲』で、遺伝子の翻訳において不可欠なの…
https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/09/25/000000 先日の対談視聴(↑)を機に、加藤文元さんの『数学する精神』(中公新書)を読んでいる。 数学する精神 増補版 -加藤文元 著|新書|中央公論新社 まだ途中だが期待を超えて刺激的。私はずっと<数…
https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/06/12/000000 から続く 『黄金虫変奏曲』(パワーズ)まだ読書中。 3か月たって半分をやっと超えた。 長いが、ロシアとウクライナの戦争はもっと長い。なぜ人間は戦争をするのか。世界は今年実地にそれを観察し…
「左翼的な過激団体と共産党の関係」(茂木発言)についてだけど―― 日本共産党が1955年の六全協で武装闘争を放棄したことは周知の歴史であり、以後いわゆる新左翼・過激派とはいわば宿敵同士になるはず。武装闘争放棄の前と後のどちらの日本共産党を真に評価…
https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/08/05/000000 から続く カーゴ・カルト(積荷信仰)なんてものがあったことを、『神のいない世界の歩き方』(ドーキンス)で知り、仰天するばかり。人間とは… 信仰とは… 「カーゴ・カルト」とは? 私の聖典であ…
https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/07/13/000000 から続く 無神論者であるとはどのようなことか――それをイヤというほどわかりたかったら、この本は最適。 『神のいない世界の歩き方』(リチャード・ドーキンス) だがそれは「無神論者でないとはど…
現代のSNSやテレビでは多彩な論客たちがそのつど大衆を引きつけているが、これは古代ギリシャのソフィストをめぐる事情になぞらえられるかも――と思った。 『世界哲学史1』(ちくま新書)ソクラテスの章を読んでいた。 アテネの公的世界とは、《言葉を巧みに…
自ずと流され今日も考えている――宗教について。 たまたま少し前に村上春樹「神の子どもたちはみな踊る」を読み、神を信じる大物語ではなく小物語として奇妙に着地した感があった(ある読書会のために読んだのだが急な仕事で参加できず非常に残念) その前に…
1950年代終わりまでに議論の的になったのは―― 《"暗号読解の問題"、すなわちRNA分子のヌクレオチドの並びに記された情報が、ヌクレオチドとは化学的にまったく別物であるアミノ酸の並びに翻訳されるしくみで、この問題に物理学から数学、化学まで、さまざま…
www.repre.org 《…「現在の人工知能はただの統計計算をしているだけだ」というように指摘することがある。しかし統計計算だからといって、それが人間の知能のモデルとして不適切だということにはならない。人間の知能だって統計計算をしているし、それは知能…
私たちは、目の前にある街の景色も家の造形も人の風体も、考えてみれば、ことごとくそれ自体というより何らかの象徴として眺める。記号論とはそんな話であり、80年代からさんざん聞かされ気づかされてきた。『ポン・ジュノ映画術』は、その飽くなき分析がび…
リチャード・パワーズ『黄金虫変奏曲』を読み始めた。2段組800ページ余のたった20ページほどしか進んでいないが、もう私の一生で小説を読むのはこれが最後でいいんじゃないかと、そんなことを言いたくなっている。 たとえばフランスとオーストラリアに行った…
映画『星の子』 hoshi-no-ko.jp この奇異な界隈のたたずまいをよくぞ映画の主題にした。なにしろそれがずっと気になった。ほんのりした独特のクセが強い。ほんのりだけど比類なく強い。暴力や犯罪とは無縁の多幸な人たちであるにも関わらず。だからたしかに…
先日あるところで数人で話をしているうちに図らずも「神はあるのか」という議論になった。べつに私が先導したわけでもない。みんな気持ちのどこかで引っかかっているテーマなのだろう。 改めて考えをまとめる機会になった。 ものごとがそもそも存在すること…
たとえば (1) 教科書をまじめに読むような人生。 あるいは (2) ツイッターをだらだら読むような人生。 はたまた (3) 小説をわけもわからず読むような人生。 ――君はどれを送るべきか、送るべきだったか。 それと話がうまくつながっているかどうか微妙だが―― …
https://www.amazon.co.jp/dp/4166606255 『評伝 川島芳子』(寺尾紗穂 2008年)を読んだ。福田和也『地ひらく』、加藤陽子『満州事変から日中戦争へ』と読み継いできた流れ。その間、ロシアのウクライナ侵略が始まり、旧満州への関心は複雑に深まっている。…
きょう私の口座の残高が急に4000万円増えていた。「さては、阿武町がまた間違えて振り込んだな!」と考えるのを、アブダクション(仮説推論)という。 これ実は、「PならばQ」が正しいときに、Qをみて「ならばPだな!」と判断する。つまり<逆を真>とみなす…
養老孟司さんがゲンロンに登場 - 東京永久観光 上にある<時間とともに変化するものを私たちは如何にして捉えることができるのか(できないのではないか)>という養老さんの指摘(趣旨)。これは映画というものを見つめ直すことでも気づくことになる。ある…
『入門 現代の量子力学』(堀田昌寛)を読もうとしている。量子力学を「情報」の観点から刷新する趣旨。そうすれば謎めいた量子力学の謎など消え去るはずだと。 https://www.kspub.co.jp/book/detail/5239230.html ――刮目せざるをえない。ただ、私に理解でき…
『現代思想入門』(千葉雅也/講談社現代新書)は、あっけないほどみごとにわかりやすい!――多くの人が口をそろえる通り。 やはりそれを「脱構築」とくくり、デリダを「概念の脱構築」、ドゥルーズを「存在の脱構築」、フーコーを「社会の脱構築」と、スパッ…
先日、福田和也『地ひらく―石原莞爾と昭和の夢』を読んで いたく感動したのが、どうにも疚しくも感じられ、加藤陽子『満州事変から日中戦争へ』(岩波新書)を真面目に読むことにした。そこにはウクライナを侵略したプーチンの胸のうちも当然ながらオーバー…
『現代文解釈の基礎』(ちくま学芸文庫)を読んでいたら、「山月記」が出てきて、やはり面白く、先ほど青空文庫で通読してしまった。 https://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/624_14544.htm 次にWikipedia「中島敦」をブラウズすると、思いがけず質・…
濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』をテアトル新宿で鑑賞してきた。 この監督の決定的な特異性を形容するキーワードを思いついた。「ワークショップ的」。今回もワークショップ的な展開の意外性や推移性こそが面白かったのではないか。そうでないところを感じ…