本
※年の後半に仕事を休んだので、本は例年になく多く読んだ。どう分類するかは、難しいが、自分の興味を探ることでもある。 <科学系 総合的> ★初めて語られた 科学と生命と言語の秘密/松岡正剛✕津田一郎 ★時間の終わりまで 物質、生命、心と進化する宇宙/…
ここで東浩紀さんが強調していることこそ、私が『ホモ・デウス』を読んで強く感じた「そうか私たちは人間至上主義だったんだ! でもまさかそれが終わるなんてことが……あるのかも!」という強烈な思いと同じだ。https://www.youtube.com/watch?v=xZCHa24ui3k …
加藤文元さんという数学者を知り、きっときわめて際どく深いところを掘り下げているという直観に、この1年引かれてきて、ついに主著かもしれない『リーマンの数学と思想』を手にした。こんなことが書いてあるに違いないという、それが本当に書いてあり、感動…
『本格小説』(水村美苗)を再読することにしたら、もう止まらない。何が面白いのか考えて、つまるところ写実が徹底されているからだと思った(もちろん虚構なのだが)。写実の日本・写実の歴史というものの上に、人々の本当にこうだっただろうという生涯が…
『科学と生命と言語の秘密』(松岡正剛✕津田一郎) 私たちを生み出しそして私たちが生きているこの世界は、いかなる仕組みで成り立っているのか、いかにすれば見通せるのか。現時点で最高度の問いと答えの形が示されていると確信する。知的官能全開の一冊と…
『万物の黎明』を読み始めた。 「人類史を根本からくつがえす」ーーこの狙いは全開にして鮮明。 「西洋近代文明がこの世で最も賢明」という私の固い信念をついに初めてぐらっと揺るがせる一冊になるかも。 自由・平等といった啓蒙思想は実はネイティブアメリ…
だいたい売っているものを食べるし、売っている服を着る。売っている本を読むかというと、もう売っていない本をけっこう読む。これはなかなかすごいことだ。
阪神が日本一になったので、『優雅で感傷的な日本野球』(高橋源一郎)を久しぶりに読むことにした。初出は『文藝』。1985年11月号から連載が始まったようだ。 全部すーっと読んでしまった。面白いとしか言いようがない。まったく難解ではないのだった。ただ…
論理学の本は、食パンを生でバターもつけず食べるようなものと思っていたが、カツオと昆布で出汁をとって味噌汁を作るようなものかと思い直した。ともあれ、愛好者の少なさと、裏腹の強さが、いつも思い浮かぶ。 筑摩書房 実践! クリティカル・シンキング /…
https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2023/07/10/000000 からの続き ↓ 大事なメールほど返信が遅れるという法則がある。大事な書物も同じだ。感想がはなはだしく遅れる。今年は野矢茂樹『心という難問』がそうだ。もう秋も深まった。なんとか片付けるべし…
何かを読むのは自然な行為だが、付箋やメモをしたり感想をまとめたりするのは、もしや不自然な行為なのか? 川を水が流れるようにただ読めばいいのであり、読んだものを苦労して堰き止めることなどしなくていいのか? とはいえ、ダムを作っておけば渇水そし…
人と仲良くなれれば本と仲良くなれなくてもいいとは思わないが、本と仲良くなれれば人と仲良くなれなくてもいいとも思わない。
量子が実在でなく情報にすぎないのは本当かもしれない。しかしそれは、人の人生が人の想像に勝らない、というような話だろう。電子の存在も君の手の存在もあやふやであるようには、君の人生も君の想像もあやふやだ。しかし見方を換えれば、君の人生も君の想…
「そう遠くない時期に必ず死んでしまう」ことが、何故みんなほとんど気にならないのか、私としては本当は不思議でならない。しかしごくまれには、この事実と困惑に真正面からぶつかっていくような本に出会う。 『存在消滅 死の恐怖をめぐる哲学エッセイ』(…
東浩紀『訂正可能性の哲学』読書開始と時を同じくし、<25年後の『存在論的、郵便的』から『訂正可能性の哲学』へ>という著者参加のシンポジウムをオンライン視聴。興味深い新発見が多々。『存在論的、郵便的』の結末が奇異な切断に至ったわけもついに(?…
一日中なにか読んでいるものの、書籍はわずかで、26%ぐらいはニュース記事だったり、69%ぐらいはツイッターだったりして、ダークマターとかダークエネルギーみたいな感じか。 物質としての読書は『なぜ宇宙は存在するのか』(野村泰紀) 先日こちらの動画…
千葉雅也『エレクトリック』面白い。作家と等身大の青年が出身地で家族や同級生と過ごす日々。読む人はきっと自分が高校や子供のときはどうだったっけと思い返す。そして小説を一度でも書こうと思ったり書いたりした人なら、自分ならこれをどう振り返りどう…
『存在とは何か』(小林康夫)を読んでいる。哲学の人として知られる著者だが、存在の謎に迫る新しいカギを、思いがけず、物理学の理論に見出そうとしている。<よくわからないけど、どうしてもそんな気がするんです>と、まるで私に似た軽薄さや気弱さも垣…
「よく次々にいろいろ読むなあ」と自分で思いながら、野矢茂樹『心という難問』(2016)を読んでいる。<他人の痛みを知ることはできるのか>という謎が今度こそさっと溶けていく感。『語りえぬものを語る』(2011)が言語論の完成だったとすれば、こちらは…
「物理現象は数式で記述される」といったことがよく言われる。これって「ものごとは言語で記述される」というのと同じことなのでは? 「何を今さら」と言うかもしれないが、たった今あっと気づいた感じがしたので書いておく。 「宇宙の法則は数学で書かれて…
https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2023/07/02/000000 からの続き ↓ スティーブン・ピンカーは下巻の最後に「なぜ人々はこんなに非合理なのか」と問う。 たとえば、トランプが勝ってしまった大統領選のとき「ワシントンのピザ店の地下には児童買春組織…
スティーブン・ピンカーは、宝くじなんて絶対買わないようだ。前立腺がんのPSA検査もわたしは受けないと言う。コストがベネフィットを大きく上回るから、ということだと思われる。『人はどこまで合理的か』より。 https://www.soshisha.com/book_wadai/books…
『言語の本質』(中公新書)。 アイコン性や新体性のあるオノマトペこそが、赤ちゃんにとっても人類にとっても言語の始まりなのでは? という仮説。さて個人的に目が輝いたことが1つ―― 論理的関係のオノマトペを持つ言語はこれまでまったく見つかっていない…
「あんたって昔から、自分に何が必要なのか全然わかってなかったわね」「そうかもしれんが、自分に何か必要ないかはわかってるさ」――チャールズ・ブコウスキー『パルプ』から(柴田元幸訳・ちくま文庫)……なおこの会話は別れた妻とふいに出くわしたときのも…
◎ https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2023/05/29/000000 から続く 飯田隆『分析哲学 これからとこれまで』、おおよそ読み終えた。 私がウィトゲンシュタインやフレーゲに反射的にのめりこんできたのは、「言語や論理には世界の構造が反映されているのか…
カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』を読んだ。 時間と空間という確実な座標軸、それを私たちに信じ込ませた「犯人はニュートン」説! そして、この宇宙には「もの」などなく「こと」だけがあるんです!――過去の著書(すごい物理学講義)に増してそれを…
◎ https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2023/05/28/000000 からの続き 「あなたにとって、余命一年と宣告されるのと、地球はあと一年で破壊されると知らされるのとでは、どっちがショックですか?」ーーブライアン・グリーンはある講演で聴衆からこう質問…
飯田隆『分析哲学 これからとこれまで』。 繰り返し言ってきたことだけど、素人さん向けにもう1回まとめますよ、といった感じがして、ありがたい。 私が読んだところ<フレーゲはすごいです(偉大)><ウィトゲンシュタインは変わってます(特異)>という…
◎ https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2023/04/16/000000 から続く ブライアン・グリーン『時間の終りまで』。読了したが、ちょうど新書化されたようだ。 https://www.amazon.co.jp/dp/4065320070 (関連情報:近所の床屋の人がブライアン・グリーンに似…
www.igaku-shoin.co.jp 郡司ペギオ幸夫『やってくる』 つまるところ この本は「リアル(現実感)とは何か」を書いている。そう気づいて大きくうなづいた。そのとき不可欠なのはものごとの認識における「ズレ=スキマ=ギャップ」。たとえば両眼の画像が少し…