東京永久観光

【2019 輪廻転生】

神がクシャミをすると人が風邪をひく

http://sxpxs.org/columns/bookreviews/conwaymorris.html 《われわれヒトが今このようにあるのは偶然である》。 ある書評のタイトルなのだが、あまりにあっけない。が、このあっけなさに、われわれはもっと慣れたほうがいい。「わわれれヒトが今このように…

石戸諭「沖縄ラプソディ」

石戸諭の多層的なルポ「沖縄ラプソディ」(Newsweek 2.26)を読んだ。 辺野古や沖縄のことを、私としてはこれまでになく真面目に知り考える機会になった。賛成派か反対派か(あるいは本当は無関心か)すぐに透けてしまうような多くの記事とは、書き手のスタ…

★哲学入門/戸田山和久

戸田山和久『哲学入門』ちくま新書(2014) https://pic.twitter.com/nLhkKt0qea ここまでぼろぼろになったのは浴槽に落としたせいだが、気持ちとしてもこれくらい熟読した。 生物は岩石とは違う。さらに人間は他の生物とは違う。つまり、私たちがものごとを…

2018年 読書記録

★知の果てへの旅/マーカス・デュ・ソートイ★偶然の科学/ダンカン・ワッツ★フッサール 心は世界にどうつながっているのか/門脇俊介★ドゥルーズ 解けない問いを生きる/檜垣立哉★イスラム教の論理/飯山陽★夜の果てへの旅/セリーヌ★「レ・ミゼラブル」…

万能の一服、万能の一冊

体の困難には1つの薬がわりとみんなに効くのだから、頭の困難にも1つの本がわりとみんなに効いてもよさそうなのに、まったくそんなことはない。なぜだ。ただ私がそんな万能の1冊の本をまだ見つけていないだけなのか? あるいは、まだ誰もそんな万能の1冊…

食の記憶、本の記憶

きょう何を食べたか、私は忘れるけど、私の体は覚えているだろう。そして知らず知らずのうちに私の役に立つだろう。では同じく、きょう何を読んだか、私は忘れるけど、私の脳は覚えているだろうか? そして知らず知らずのうちに私の役に立つだろうか? メモ…

私たち知性の特殊性と普遍性

★ランドスケープと夏の定理/高島雄哉 表題作を読んだ。まさに日本のテッド・チャンかグレッグ・イーガン(誰しもそう言うだろう) 作中まず「知性定理」なるものが示される。「知性は互いに翻訳可能」という原理。つまり私たちの数学や言語はいかなるAIや異…

★偶然の科学/ダンカン・ワッツ(2012)

「この本くさい、なにかある、絶対なにかある」と思って手にしたが、本当にあった。私たちの考え方の根本的・致命的な錯覚に気づかせる本。ワッツはスモールワールドなどのネットワーク科学で名を上げた人。推薦の記事 http://blog.livedoor.jp/dankogai/arc…

★有限性の後で/カンタン・メイヤスー

http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20181115/p1 から続く 哲学の本はしかしあまりにも難しい。再び読んで前回より先に進んだのはわかるがゴールにはずいぶん遠い。仕方ない、また帰るか。中国雲南省の麗江に行きさらに虎跳峡まで辿り着いたがもはやヘトヘトで…

★日経サイエンス 2018年12月号 特集:新・人類学「ヒトがヒトを進化させた」

《人間は人間が作った》すなわち《自らの反応を自ら持続させる化学反応にも似た終わりのないプロセスが人間の認知能力と文化を進めてきたのだ》。(K.ラランド)さらに言い換えれば、《文化の継承は遺伝子の継承と全くかわらない》という見方。素直に激しく…

★夜の果てへの旅/セリーヌ

http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20180801/p1 から続く。 ずいぶん日が経ったが、セリーヌ『夜の果てへの旅』は読み終えた。記憶が流れて消えていかぬよう、少し書き留めておきたい。 =以下はすべて下巻について= 上巻は、第一次大戦の前線、その銃後のパ…

★ドゥルーズ 解けない問いを生きる/檜垣立哉(哲学のエッセンスシリーズ)

「ドゥ」を出すには「doxu」と打てばよいことを、すぐ思い出せる程度には、私はドゥルーズのことが昔からずっと気になっている。しかし実際にはほぼ知らない。そこで、今さらだが、ぱっと思い立ち、檜垣立哉による入門書『ドゥルーズ』を開いた。NHK出版…

読書のサンクコスト?

村上春樹『騎士団長殺し』は上巻だけ読んで中断しているのだが、こういうのもサンクコストなんだろうか? トマス・ピンチョン『逆光』も、スタンダール『赤と黒』も。

★ホモ・デウス/ユヴァル・ノア・ハラリ

http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20180917/p1 から続く ↓『ホモ・デウス』は読み終えているのだが、その内容は、私がここ5年〜10年ずっと考えてきたことと、あまりに同調している感じがするので、感想をまとめようとしても繁茂するばかり。むしろ今私が一番…

金銭のゼロサム、時間のゼロサム

政府が国債をばんばん発行して日銀がどしどし購入して、というカラクリの日本の財政というのは、ひょっとしてひょっとしてひょっとして、本当に打ち出の小槌なんだろうかと、信じたくなっているところだが…「いやいやいや、そんなことあるわけがないです、ど…

★ホモ・デウス/ユヴァル・ノア・ハラリ

いくら先が読みたいからといって、まじにネットから離れたくなるほどの本なんて、近ごろまさかあるまいと思っているわけだが、『ホモ・デウス』(ユヴァル・ノア・ハラリ)だけはやはり例外だった。前著『サピエンス全史』の最後に問いかけたシンギュラリテ…

★有限性の後で/カンタン・メイヤスー

http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20180720/p1 から続く まだ行きつ戻りつ読んでいる。北アルプスの大キレットで立ち往生している感じか。登山はしかし、とにかく登った人は等しくゴール到着だが、読書は読んだ人がみな等しくゴールできているとは限らない。…

★取り替え子/大江健三郎

この続編にあたる『憂い顔の童子』を読んだときの感想が「ぎくしゃく」だったが、まったく同じで、古義人のやることや考えることや言うことは、ぎくしゃくぎくしゃく。ああこういう内閉的個性的モードで仕事や生活をしていいんだという安堵と確信に満たされ…

★夜の果てへの旅/セリーヌ

気が向いて小説を二つ読み始めた。セリーヌ『夜の果てへの旅』と大江健三郎『取り替え子』。どちらも初めての本。ネットからなんとしてでも離れようという動機が隠れていたかもしれない。 ◎大江健三郎『取り替え子』についてはこちらへ セリーヌ『夜の果てへ…

★デジタルネイチャー/落合陽一

《古いタイプの人文社会科学のように、テクノフォビア(科学技術恐怖症)的に距離を取るわけでもなく、かといって、シリコンバレーコンプレックスから自己啓発的に新しい流れを「サプリメント」として受け入れも…》『デジタルネイチャー』の編集者、宇野常寛…

★忘却の河/福永武彦

こんなに古い、それこそ忘却されてしまったかのごときこの小説を、それでも今夜だれか一人や二人は読んでいないかと、なんどもツイッターを検索したが、やはりいつも誰も読んでいなかった。出てくるのはbotだけ。でも私は読んだ。この小説のことを思い出した…

リバースエンジニアリングとして(人工知能)

http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20180607/p1 から続く 人工知能研究とは、人間の知能の「リバースエンジニアリング」なんだな、というのが、『人工知能とは』を読んで思ったポイントの1つ。たとえば車を作るのがエンジニアリングなら、すでに完成された自…

知識という観点から(人工知能)

http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20180605/p1から続く 人工知能学会編『人工知能とは』(近代科学社)の感想続き。 武田英明さんはまた独特の観点で人工知能を捉え、「グーグル検索は記憶という機能においては人工知能」であり、検索もナビも「十分にスーパ…

身体そして進化の観点から(人工知能)

http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20180527/p1 から続く 『人工知能とは』(近代科学社)は、人工知能をめぐる本質的な問いを、13人の研究者が、それぞれ自ら設定し、言葉を厳密に選んで答えていったシリーズで、人工知能学会誌に連載されたものらしい。 表紙…

人工知能研究の動機

《我々はいつか死にます。こうして考え、認識している主体にも終わりが来ます。このこと自体を考えることは、自分自身にとても不思議な感覚をもたらします》――これは、いつものように、年をとったロマン主義者の私が言っているのではない。若い科学者である…

★転向論/吉本隆明

http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20180408/p1から続く 先日は、吉本隆明が論じていたと知って、中野重治「村の家」を読んでみたわけだが、そのあとに、その吉本が「村の家」を論じた「転向論」(1958年)を読んでみた。 吉本は要するに、サヨクが転んでウヨ…

ハムレットを初めて読んだ

「ハムレット」を読んだことがなかったので読んだ(福田恆存訳)。ハムレットが屋敷に劇団を呼んで劇中劇が展開され、それがストーリーの結節点になるということも初めて知った。なお、ハムレットは役者の演技というものについて指導というか愚痴をくどくど…

★哲学探究/ウィトゲンシュタイン

http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20180501/p1から続く 『哲学探究』を読んでいると、あのことを聞かないといけないからどうしても会おう、会おう会おう、そう思ってたのに死んでしまった友達の手紙かなにかを読んでいる気分になる。通常の友達と違い会ったこ…

★人工知能のための哲学塾/三宅陽一郎

ざっと読んだ。人工知能については従来のイメージが転倒し謎が深まるばかりなのだが、哲学そのものついては非常に勉強になった、という奇妙な本になった。哲学について非常に勉強になったというのは、現象学とは何かが初めてわかった気がしたこと。著者はゲ…

★哲学探究/ウィトゲンシュタイン

http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20180430/p1から続く 私たちが哲学というドツボにハマらないためにはどうしたらいいのか。ウィトゲンシュタインは、最初の著書『論理哲学論考』では、「言葉にできることは実はあまりにも限られている」ことを徹底的に説いた…