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【2019 輪廻転生】

★現代の人工知能と「言葉の意味」。そして記号創発システム/ 谷口忠大

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《…「現在の人工知能はただの統計計算をしているだけだ」というように指摘することがある。しかし統計計算だからといって、それが人間の知能のモデルとして不適切だということにはならない。人間の知能だって統計計算をしているし、それは知能の重要な部分をなす》

ダメ押し《言語を操る現代の人工知能──大規模言語モデルは表層的な言葉の並びを学習する。だから「言語の内容はまるで理解していないのだ」と、思われるかもしれない。しかし「表層的な言葉の並びを学習する」という言明は、「深層的な言葉の意味を学習できない」ということを「含意しない」》

しかし!(むしろここが本題か)

《しかし、大規模言語モデルに基づき作動する人工知能に、言語はあるが「世界」がない》《言語理解には「世界」が必要だ》《実世界に存在し、感覚器を介して知覚世界を構成する身体が必要だ》

《「冷蔵庫の中のペットボトル」という言葉は、例えば私の家の冷蔵庫にあるコーラのペットボトルを表す。そこでの「意味」とは単語の相対関係ではない。私がこの視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚で感じる(構成する)この世界に存在する、ペットボトルを指す》(それが世界から分節化・指示される対象)

そして、《実世界で身体を持ち、環境と相互作用しながら活動する人工知能。つまりロボット》なら、それができるようになる(かも)と筆者は演説している。

記号システムの動的特性と、記号の意味における身体に基づく実世界経験(環世界の存在)は記号や言語に関わる議論において論じることがしばしば困難であった》《しかし》《私たちは実世界認知に基づく言語を扱う新しい道具立てを得た》

 

――「表象文化論」への道場破り的?

 

ちょうどこの本を読み始めたところだったので、興味をひかれた次第。

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