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【2019 輪廻転生】

哲学

フレーゲ『算術の基礎』を読む(希望)

ゴッドロープ・フレーゲは、数という抽象世界がこの世とは別に実在すると考えていたらしい。独特の「プラトニスト」とも呼ばれる。そんなわけで『算術の基礎』を開いてみようかと思い立つ。 生死の意味を問うとかはもう諦め気分になっているので、違うことを…

★ウィトゲンシュタイン 論理哲学論考/古田徹也(角川選書)

www.kadokawa.co.jp 読んでいる。結局こういうものを読むことになる。私がなんだかんだと今なお考えあぐねていることに、ウィトゲンシュタインはとっくの昔から突き当たっていたのだろう。突き刺さっていたというか。 《世界がいかにあるかが神秘なのではな…

落合陽一 × 東浩紀 対談(シンギュラリティ、結婚詐欺)

newspicks.com 通して視聴した。現在最大に興味深いテーマと見解が炸裂。いわく――相手が人間でなくAIだったら「結婚詐欺」なのか? 疑念をとうとうと語り続ける東浩紀に、落合陽一は妙な合いの手だけを入れる。「ちょいなちょいな」ならぬ「ちゃうなちゃうな…

★「覚える」と「わかる」』/信原幸弘(ちくまプリマー新書)

www.chikumashobo.co.jp 《理解できないまま全文を読みきることが理解に至る必須の条件なのである》 不思議だが実際その通りで、でもその通りだがやっぱり不思議で… そこを「それでいいんだ、それしかないんだ」という励ましの書か。信原幸弘さんは認知の謎…

人の死は生を考える機会であり死を考える機会ではない?

実はこの正月、身近な人の死に遭遇した。笑ったり話したりしていた人が今日はもうまったく動かない。その姿をはっきり目にして考えがめぐったのは「人生とは何だろう」「家族とは何だろう」ということだった。それをしみじみ思う貴重な機会だった。 こうした…

★因果推論の科学(読書中)

『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』ジューディア・パール ダナ・マッケンジー 松尾豊 夏目大 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS ツイッターを中断してでも読みたい本なんて あるわけないのに、今日の『因果推論の科学』はそんな奇跡を達成している。…

★いつか必ず死ぬのに なぜ君は生きるのか/立花隆

『いつか必ず死ぬのに なぜ君は生きるのか』 私が今ツイートかのような気になるが、じつは立花隆の著書から印象的な言葉を抜粋した新書のタイトル。 https://www.sbcr.jp/product/4815617165/ 第1章「人間とはなんだろう?」第2章「死とはなんだろう?」 書…

上弦の月とベルクソン

凪のような気分の夜もある(11月1日) * 夜更けに帰宅。上弦の月が今落ちていく。真っ黒な空。 区の図書館で哲学の棚にも行くがなかなかその気にならない。ところが先日は ふっと心が動いて『ベルクソン』と『アウグスティヌス』の小冊子に手が伸びた。NHK…

経典というテクスト〜外部不在

https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480072924/ 『世界哲学史2』(ちくま新書) に大乗仏教の章がある。知識も関心も薄い領域だけど概観できればいいかと読み始めたら、どうもおかしい。なぜか「テクスト」が焦点になる。それまで口伝でしかなかっ…

いつか死ぬという公理系、いつまでも死なないという公理系

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/10/03/000000 カメは常にアキレスより必ず少し先を行くというゼノンのパラドクスは『数学する精神』(中公新書)=上=でほぼ解消した。ところが、仕事が私を追いかけどこまで逃げてもわずかな距離しか保てない…

★数学する精神/加藤文元(中公新書)

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/09/25/000000 先日の対談視聴(↑)を機に、加藤文元さんの『数学する精神』(中公新書)を読んでいる。 数学する精神 増補版 -加藤文元 著|新書|中央公論新社 まだ途中だが期待を超えて刺激的。私はずっと<数…

「数学の祭典」 千葉雅也×加藤文元 対談

ニコニコ生放送で「数学の祭典」というのをやっていた。 アクセスしてみたら甘利俊一さんが話していた。理研の脳科学総合研究センター長だった人。かつて立花隆がやっていたメディアの役割を今はニコニコ生放送がやっているのか、と思わせた。 * 続いて、千…

クリプキ死去

主観でしかないのですが、単に頭が切れるというより、常人と全く発想が違うというか、新しい世界の見方を提示してくれるところでしょうか。そういう意味では芸術的天才と同類に捉えている気がします。すごいなを超えて少し空恐ろしくなる感じ。 — Jun Otsuka…

★世界哲学史1( 続き)

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/08/01/000000から続く 『世界哲学史1』(古代Ⅰ)なんだかんだと読了しつつある。 哲学の祖が古代ギリシアだけに限らないなら、同じぐらい古い諸地域の思想もまた哲学たりうるのか? もしそうなら哲学とはいかな…

現代のソフィストとソクラテス

現代のSNSやテレビでは多彩な論客たちがそのつど大衆を引きつけているが、これは古代ギリシャのソフィストをめぐる事情になぞらえられるかも――と思った。 『世界哲学史1』(ちくま新書)ソクラテスの章を読んでいた。 アテネの公的世界とは、《言葉を巧みに…