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【2019 輪廻転生】

★因果推論の科学(読書中)

『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』ジューディア・パール ダナ・マッケンジー 松尾豊 夏目大 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS

ツイッターを中断してでも読みたい本なんて あるわけないのに、今日の『因果推論の科学』はそんな奇跡を達成している。ドイツに日本が勝ったみたいなこと。

 

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「相関と因果は同じではありません」とよく言われる。それ以上の何をこの本は教えてくれるんだ? という根本的な疑念とともに読み始めるわけだが、その疑念とは根本的な期待でもある。「この世界に因果はそもそもあるのか? 因果とはそもそも何と違うことなのか?」――こうした疑念が氷解する期待。

 

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解説を書いている松尾豊さんは、とりわけ第3章が珠玉だという。その中身はベイズ確率。すなわち「結果から原因へ」。不気味で不可解なこの話は、ぜひスカッと納得したい。そう思って読み始めると、予想外なことになんと、18世紀のベイズは神学的な問いとしてその論文を示したという!

「世界の枠組みが現在のようになっているのは、何か知的な原因の知恵と力のおかげのはずである」――とはいえ序文にそう書いたのはベイズ自身ではなく、ベイズの論文を世に出した友人の牧師とのこと。

ともあれ、実際に現在の私たちがベイズに注目するのは《結果から原因が推定できることを示したからだ》p.156

ところで、本の感想は、読んだ後からは書きにくいのに、読み始めのほうが書きやすいのは、なぜだろう? 

しかしそれこそベイズ推定だな〜 すなわち「こんな感想になるのは、こんな内容だからに違いない!」的な。

 

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著者が、人工知能ニューラルネット型にしようと発想した理由。

《…不確実性に対応する推論を機械にさせるためには、人間のニューロンと同様にメッセージをやりとりする仕組みが必要だと考えた。ただ、ここで問題なのは、メッセージとは何か、ということだ。それがわかるまでには数ヶ月を要した》

《そして私はついに、この場合のメッセージとは、ある方向では「条件付き確率」であり、別の方向では「尤度比」であると気づいた》

ユリイカ!的?

つまり、脳は何をしているのかというと、ある出来事を結果としてとらえ、その原因になっているはずの出来事を推測しているのだ、ということになろうか。

※尤度比とはたとえば、がんの検査で陽性になった場合に、その人が本当にがんである確率と、その人が本当はがんではない確率との、比のこと。ーー合ってるか心配なので、引用するなら自己責任で。

 

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(12.1)

この読書まだ半分ほどだが、正しく理解すれば、統計そして因果の道の〈黒帯になれる〉ことが期待される。

この本を手に「因果と相関? 知ってるけど、何か?」と言う人がいるだろうと上に書いた。その人は次に「交絡? それも知ってるけど」と言うはず。私もややそんな感じだった。

しかし私たちは「交絡とは何か」を本当に明瞭に示せるだろうか。同書はそれを示すのだ。最短記述で。そして矢印の2〜3本のみで。覚醒する瞬間。

 

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喫煙と肺がんの関係をめぐって科学がどう興亡したかの現代史も示される。実は統計を絶対視する場合「タバコを吸う人と吸わない人をランダムに分けて実験しないかぎり正確な因果はわからない」という見解を手放せない。そもそも科学は因果を語ることを長く禁じてきたとも言う。

しかし著者は〈因果を科学は語ることができる。その図式ないし数式を見つけ出した〉と言う。それを示すためにこの本は書かれた。その章はまだ先。

――本の先も気になるがコロナのワクチン論争の先も非常に気になる。ワクチン接種の増加と超過死亡の増加に交絡があるとしたら何なのか? ワクチンを打った人が直後に死亡したとき、素直に因果を思うことは間違いなのか。いやいや素直に因果を思わないことのほうが間違いなのか。私はわからない。

 

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(12月3日)

『因果推論の科学』第7章はモンティ・ホールが紹介される。《読者が気軽に楽しめるよう》と著者は言うが、ここでは同書がここまでに初めて明かしてきた、統計の落とし穴みたいなものが、あっと驚くほどクリアに一望できる!https://tashlouise.info/%E6%95%B0%E5%AD%A6/6663.html

確率」と「因果」が初めて正体を現したとも言える。この落とし穴にはまってしまう理由を、著者は次のように書く。

《私たちの脳は、確率の問題を苦手としている一方で、因果関係の問題を得意としているのだ》。「出場者のドア選択」と「車があるドアの位置」に因果関係はまったくない。ところが確率的な関連はある! このとき《私たちの脳は、原因のない相関関係をうまく理解できるようにはできていない》p.302

 

→ https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2023/04/14/000000 に続く