1950年代終わりまでに議論の的になったのは――
《"暗号読解の問題"、すなわちRNA分子のヌクレオチドの並びに記された情報が、ヌクレオチドとは化学的にまったく別物であるアミノ酸の並びに翻訳されるしくみで、この問題に物理学から数学、化学まで、さまざまな分野の科学者が熱中した》
《そしてついに、自然が30億年以上の進化の年月を経てつくり上げてきた暗号を、進化の作品の1つである人類が、その頭脳で解読したのである》
このエモーショナルな一節は、今読書中の『黄金虫変奏曲』にいかにも書いてありそうだが、実はこれはさらに分厚い『Essential細胞生物学』にある記述。
そんなわけで『Essential細胞生物学』は『黄金虫変奏曲』の参考書によいかもしれない。参考書のほうが読むのに苦労するじゃないかと文句が出るかもしれないが、もとの図書が読むのに苦労しないとはまったく言えないので、まあどんぐりの背比べだ。東京選挙区自民党候補2人の比較に似た高難度。
なお私が『Essential細胞生物学』を紐解いたのは、「DNAの情報は遺伝暗号と呼ばれるが、本当に暗号なのか?」という疑問にこの前から強く引っかかっているため。
https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2021/09/26/000000
同書が図らずも『黄金虫変奏曲』の参考書に、「いや変奏前の原曲がこれか」という感すら醸している次第。
◎Essential細胞生物学
→ https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/09/24/000000 に続く
◎黄金虫変奏曲(過去の感想)