東京永久観光

【2019 輪廻転生】

★イワン・イリッチの死/トルストイ

ベートーベン 弦楽四重奏曲 第14番 第1楽章 - 東京永久観光

先日はベートーベンの旋律に「本当の終わりを知らない」という歌詞を戯れのようにつけてみたが(上)、「本当の終わり」がいかなるものかは、この小説に書いてあった。苦痛・恐怖・絶望、それ以外に何ものもなし。嫌な予想の通りだった。

『イワン・イリッチの死』

https://www.amazon.co.jp/dp/4003261933

 

一方こちらは、フォン・ノイマンの死。

【実話】フォン・ノイマン博士の最期【感動の哲学物語/死の意味を求めて】 - YouTube

神父との対話。実話らしい。

 

(2月18日)

『イワン・イリッチの死』でもう一言。

この小説は病気で死ぬことがいかに暗澹たるものかを後半半分を費やして切々と訴えるが、とりわけおぞましく感じた1つは次のくだり。

《彼は自分の痛い体が、どこか狭い、暗い、深い袋の中へ押し込まれるような気がした。しだいに奥へ押し込まれるけれど、どうしても向こうへ突き抜けることができない》(米川正夫訳) 

とても嫌な話だが、少ししてトルコの大地震が報じられ、この地獄のような恐怖のことを思い出さざるをえなかった。

最後には以下の絶望に至る。

《彼は自分の頼りなさを思い、自分の恐ろしい孤独を思い、人間の残酷さを思い、神の存在しないことを思って泣いた。『なぜあなたはこんな事をなすったのです? なぜわたしをここへ連れてきたのです? なんだってこんなに恐ろしいいじめ方をするのです?』

 彼は答えを待とうともしなかった。答えはない。あるはずがないのだ、こう思ってまた泣いた》

――これまでに彼が築き上げた仕事と家庭の栄達と虚飾、それが理由ならまだ諦めがつくのだろう。しかしこの絶望はそうではない。ただ単純に病気で死ぬという偶然に特別な理由はない。

私がこの先必ずぶちあたるはずの不条理の感想を、イワンが先に言ったトルストイがすでに書いた。十分わかった。この本はもう閉じよう。