東京永久観光

【2019 輪廻転生】

思考

ウィトゲンシュタイン再読

旅行をすればするほど行きたいところが増えるかというと、人によるだろうが、私はそうでもない気がする。ところが本は、読めば読むほど読みたい本が増えていくのは明らかで、それゆえ、十分な読書というのは短い生涯においてきわめて難しいプロジェクトにな…

だったら人間には魂も天国も地獄もあるのか? ――ブレードランナーをめぐって

「魂もないくせに」――しかし魂がないのはレプリカントだけではないね。「おれたちには天国も地獄もない。だからここで戦うんだ」――この実感はレプリカントだけでなく無神論者のものでもあるね。 (以下を視聴して)https://twitter.com/tokyocat/status/9294…

そうだったのか無神論

明治生まれの私の祖母は、米びつに米を長く置いておくと虫になってしまう、といったことをわりと信じていた。それに対し、私が近ごろ「無神論」と呼んで自覚と興味を抱いているのは、「米が虫に変化する仕組みなど存在しない。少なくともまったく解明されて…

知性の定義が変わるとき?

http://kaseinoji.hatenablog.com/entry/carlo-rovelli#%E3%81%93%E3%81%AE%E7%9F%A5%E6%80%A7%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%8B《人間の認知能力は知性のいちバリエーションでしかなく、他の知性のあり方があるのではないか。この意識も、この…

皆既日食、見てみたい

太陽と月と地球が一直線に並ぶのは自然なことだが神秘的。同じく、親と子と孫のつながりとか、カッパドキアや桂林や張家界の奇岩とか、自然なことだが神秘的。私が生まれて死ぬのも自然なことだが神秘的。だが反対に言えば、神秘的だが自然なことであり、何…

★すごい物理学講義/カルロ・ロヴェッリ

この本の感想を一言でいえば「すごい物理学講義」ということになるが、それが書名なので、困る。というか、この粗雑な日本語とは隔絶して、あまりにも優雅な物理の法則が、あまりにも優雅な言語の表現によって、つづられている!長く生きていると、「相対性…

自然の法則はあるが社会の法則はない

ソ連が実在した時代に生きていたというのは、イエスが生きていた時代に生きていたというくらい、レアなことなのかもしれない。キリスト教がこれまで2千年生き残ってきたように、マルクス主義もこれから2千年生き残っていくかもしれないのだから。しかし、…

中間領域の希少

この世はカメラをどんどん引いていくと似たようなパターンが現れる。カメラでどんどん寄っていっても似たようなパターンが現れる。多様性や個性が現れるのは中間領域。生物の多様性も人の個性も中間的な現象なのだろう。東京都の人口13,716,974人。星間物質…

武満徹作曲賞

武満徹作曲賞本選演奏会というのが、わりと近所のオペラシティで開催されるとわかり、聴きに行ってみた。ふつう思い浮かべる音楽とはおよそ遠いものだろうと予測はしていたが、はるかにとんでもないものが現れて、壮観と言うしかなかった。数十人のオーケス…

意義や価値を問うのは錯誤なのか?

過去10年くらい「言語ってなんだろう」「宇宙ってなんだろう」というのが気になることの中心テーマだったとするなら(そうした大げさな物言いをするなら)、最近は「生死とはなんだろう」というのが中心テーマかな。特に「死とはなんだろう」だ。しかし、「…

『サピエンス全史』読み終えた

(ここからの続き↓) この本の素晴らしさは、専門家の知識を述べ立てるところにはない。誰もが知る現世人類の道程から「言われてみればそのとおり」の事実と評価をいくつも提示することだ。そのサピエンスの事実は決定的な驚愕に値し、しかもその評価の優美…

死が納得できないのは単なる不合理なのかもしれない

人工知能は時間を理解できても時間を実感できないのではないか、という問いがあるように思われる。ファミレーミファソーラシドードシラミー たとえばこのメロディーの良さは時間とともにしか実感できないだろう。彼らには音が流れるのでなく全部の音が重なっ…

『サピエンス全史』(終盤)

(ここからの続き↓) この本は、人類が、社会や生活の基盤を、劇的に、しかも、幾度も、変容させてきたことを、思いがけない視点から、ありありと実感させるわけだが、下巻の終盤まで来ても、その勢いは衰えるどころが加速している。近代科学による激変、資…

知のトップランナー50人の美しいセオリー(現代思想 臨時創刊号)

一昨日ふらっと本屋に入ったら現代思想の臨時増刊号『知のトップランナー50人の美しいセオリー』というのがあった。50人のラインナップの魅力に抗えず買った。この雑誌が通常イメージさせる人文系学者がほぼ見当たらないところが特に魅力的だった。布団に入…

ゲンロンカフェ 石田英敬 × 東浩紀 一般文字学は可能か──記号論と脳科学の新しい展開をめぐって

http://live.nicovideo.jp/watch/lv288824571 ショーヴェ洞窟では壁画を炎と音でいわば上映していたのだという話から、1895年映画誕生の話へと、3万年を隔てた視点が据えられ、これは文明としてのメディアが手製から機械製へ大きく転換した瞬間なのです、と…

★サピエンス全史(下巻)

(ここからの続き↓) 宗教に関する考察。ここはさして新味もなかろうと思っていたら、完全に裏切られた。宗教の本質…というかむしろその単純かつ基本の事実が淡々と指摘されていくのが、決定的に面白い。「そういえばそうだ!」と今さら気づかされること、多…

★サピエンス全史(読書再開)

(ここからの続き↓) 貨幣について。貨幣が宗教や国家や文化を超えてユニバーサルであるという指摘に、「そういえばそうだ!」と改めて感じ入る。日本人もミャンマー人も米国人も中国人もIS人も、仮に互いの素性がまったくわからなくても、ドルだけは信用す…

★サピエンス全史/ユヴァル・ノア・ハラリ(柴田裕之 訳)感想

読み進めつつ、以下は感想。 期待を超えて面白い!現世人類の最大の特徴を言語とみるのは一般的ながら、著者はそれすなわち「虚構の思考」だとズバリ指摘して清々しいのだが、しかし最も深くうなずいたのは、その虚構思考こそが現世人類の同一種にあるまじき…

行為と規則

ノーベル文学賞のパラドクスはこうであった。すなわち規則は行為の仕方を決定できない。なぜなら、いかなる行為の仕方もその規則と一致させられ得るから。ボブ・ディランがふいに選ばれてしまうのがノーベル文学賞であり、村上春樹が選ばれるんじゃないかと…

★探究(1)/柄谷行人

柄谷行人『探究1』を読み直すことにした。20年前に出会った本。あまりにも大風呂敷を広げ、あまりにも抽象性の高いテーマを無理やり浮上させる。何故だ、動機は何だ。最初はそう首をひねるけれど、柄谷は、学問あるいは哲学の全体が陥っている罠を壮大に批…

人工知能と経済の未来とニートの万歳と地獄

先日、<ワークショップ「人工知能と経済の未来」を考える>というのを見てきたのだった。http://peatix.com/event/196236 知名度の高い学者が多く出てきたこともあり、充実したひとときだった。井上智洋『人工知能と経済の未来』をめぐる質疑応答の形式で進…

言語から概念を切り離し記号を切り離したら何が残る?(チョムスキーをめぐって)

『チョムスキー 言語の科学』というインタビュー集を読んでみた。 チョムスキーってなんかこんなヘンテコなことを言ってるみたいだけど、「まさかホントかね」と弱々しく眺めていたことを、なおさら輪をかけて断言しているので、驚くほかない。ヒトの脳に生…

何の根本法則?

たとえば「力=質量×加速度」なら物理法則っぽいが、「作用反作用の法則」なんてホントに物理法則なのだろうか。……といった疑問のはるか向こうに、「否定の否定は肯定」という絶対正しいとしか言えないような法則があり、これは物理ではないだろうが、では何…

宇宙には感情も人生もない――無神論2016

ことしの夏、いろいろあって、天国や地獄というものがたぶん無いのと同じように、宇宙や人間の特別な意味というのもやっぱり無いのだろうなと、気持ちを切り替えることになった。(我ながらなんとも崇高な告白だ!)ただまあ、ここで「無い」というのは、「…

★論理トレーニング101題/野矢茂樹

この名著を久しぶりに読み味わったのだが、最後になって、ちゃぶ台返しのようなことを記しており、脱力した。以下のとおり:《論理トレーニングの成果は、親、兄弟、友人、恋人、そしてとりわけ配偶者に対して無分別に発揮してはいけない。(1)初心者がうかつ…

ホモ・サピエンス・ヤンキー系

「最後のイゾラド 森の果て 未知の人々」を先日やっと視聴した(NHKスペシャル『大アマゾン』第4集)。http://www.nhk.or.jp/special/amazon/NHKカメラマンがひとり目前で撮影したその人々は、ヤンキー系の性格が著しい一家、という感じがしないでもなかっ…

★人工知能は人間を超えるか/松尾豊

ある画像を見てそれが猫かどうか、私はすぐわかるが、コンピュータはなかなかわからない。そこを克服したのがグーグルの人工知能であり、それを可能にした手法がディープラーニングだという。ではディープラーニングとは何か。松尾豊『人工知能は人間を超え…

絵は文字に代わる記号になれるか?

昔は文字も絵も手で書いた(描いた)。しかし今では、文字は完璧に電算的に入力され普遍的な情報として流通する。この異様な激変は、十分に指摘されず、そもそも十分に自覚されずにきた感じがあるが、絵の入力や流通が本当に面倒であることとの差に気づくと…

クラウドアウトライナー

《私の知的生産は、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」を育てるようになって、うまく回るようになりました》http://www.tjsg-kokoro.com/2015/01/08/workflowy-2/「クラウドアウトライナー」というツールをめぐって。「考える」ことの骨格を透視して…

人工知能になかなか気づかないのが人間様というもの

<偽日記より引用>《シャオアイスの件に関しては、人工知能がどうとかいうより、人間の、人間自身に関する「知」の、量の莫大な増加による更新という方向として興味を感じる》《おそらく、シンギュラリティが来るよりもかなり前に、人間が、(人間を外側から…