東京永久観光

【2019 輪廻転生】

★無限の始まり/デイヴィッド・ドイッチュ(再再再読)

ちょっと時間があるとつい余計な後悔や心配をしてしまう。そんなときは、とても面白くてとても難しい本を読むのが正解。たとえば『無限の始まり』(デイヴィッド・ドイッチュ)。年末から再読している。すこぶる集中せざるをえない。 http://www.intershift.…

★血と暴力の国(ノー・カントリー)

年末年始に用意した本の1つが『血と暴力の国』(映画『ノーカントリー』の原作)だったが、手にした日にほとんど読んでしまった。映画の静まりかえった緊張がそっくり蘇り、やめられなかった。原作に忠実な映画というより、見据えている何ものかの様相が完全…

2021年 読書記録/映画鑑賞記録

【2021年 読書記録】 <思考> ★世界はなぜ「ある」のか? ※継続 ★生物の中の悪魔(ポール・デイヴィス) ★生命の起源 地球と宇宙をめぐる最大の謎に迫る(ポール・デイヴィス) ★相対化する知性 ★無限の始まり ※継続 <科学> ★新 大学生物学の教科書 ★タコ…

対コロナ日本定型社会

魔女オミクロン 非定型リアクション←糾弾 日本のコロナ対策はASDの人に決めてもらったらどうだろう。――『自閉スペクトラム症の女の子が出会う世界』をぱらぱらと読みながら思いついた。https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309254326/ * 「かかりつけ医ど…

落合陽一×池上高志

※残念ながら公開終わっている様子 落合陽一×池上高志、めっちゃ話が合う感じ。 「ブルックスのジュース(生命を生み出す最後の一滴)、落合さんは何だと思いますか?」「エントロピーに逆らうような構造体を言語や遺伝子アルゴリズムとは別に作り出していく…

「マクロの法則」とは「特徴量」でもある

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2021/12/11/000000 から続く ミクロの物理法則に還元できない未知の「マクロの法則」があるはず、といった話だった。 さてこの「マクロの法則」というのは、なんと、人工知能がディープラーニングによって見つけ出す…

生物の中の悪魔/ポール・デイヴィス(続々)

そうこうしているうちに… から続く 死んだら終わりで、神もいないみたいだけど、本当にそれでいいのか? 宇宙よ!―― 今年の夏は『生物の中の悪魔』(ポール・デイヴィス)をこの問いの変奏とみなして読み、そして、同書の核心は「マクロ世界」そして「情報」…

★地ひらく/福田和也

日米開戦80年(昨日)。たまたまこの本を読んでいる。石原莞爾を通してこの時代を深く考察している。 https://www.amazon.co.jp/dp/4163577807 昔こうした本は敬遠していた。戦争がイヤだったからだし「戦争がイヤだ」という事実をあらゆることのベースにし…

夏の宿題がまだ片付かないのに、もう12月だ

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2021/09/27/000000 からの続き 実はあれからジム・ホルト『世界はなぜ「ある」のか』を改めて読んだ。宿題の本題である「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか」を考えるのに最良の副読本。文庫が出ていたので線を…

★舞踏会へ向かう三人の農夫

《自分には合わなそうだなと思う。それでこの小説についてはあきらめることにした。くやしいが、仕方ない》 この人はいつもこのように正直そのものだから、この人の言うことは信頼している。 とはいえ、私にとって『舞踏会へ向かう三人の農夫』は、これまで…

近代科学の水準、近代音楽の水準

近代科学などに粋を極めてきた人間の知性も、宇宙の底知れぬ全体や核心となれば「捉えられているはずがない」――という考えを、物理学者デイヴィッド・ドイッチュは否定している。人間の科学が宇宙の全体や核心に迫れる可能性には十分な根拠があると言うわけ…

★「死」とは何か/シェリー・ケーガン

「死」とは何か/シェリー・ケーガン 本屋でいつも気になりつつ避けていたのは、表紙の雰囲気が邪魔をしていた。悟りっぽいというかチャクラっぽいというか印を結んでるじゃないかというか。だがまったく違った! 徹頭徹尾哲学。面白い。私の代わりに書いて…

「夏の宿題2021」まだやってない

人間の誕生は宇宙の必然か?(続) から続く 「夏の宿題2021」と称して『生物の中の悪魔』(ポール・デイヴィス)という本を読んできた。すっかり秋だが、感想を提出しないわけにはいかない。 人間の出現は宇宙の必然か?ーーそんな問いがこの本には潜んでい…

つれづれ

仕事すべきなのに仕事していないという不安と焦燥がバネになって明日の仕事が加速する理論。 * ふと思いついて『ソクラテスの弁明』とか『されど われらが日々――』とか読む。仕事の役には立たないがとても面白い。 * 文化統制ロックダウン、中国。またもや…

★人間の誕生は宇宙の必然か?(続)

〜ポール・デイヴィス『生命の誕生』『生物の中の悪魔』をめぐって〜 https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2021/07/28/000000 から続く ↓ 景気づけに大仰なことを1つ書く―― 宇宙に目的や意味といったものはいついかに生じたか? ダニエル・デネットや戸田…

言葉を使う動物たち/エヴァ・メイヤー

www.kashiwashobo.co.jp 『言葉を使う動物たち』(エヴァ・メイヤー) このタイトルは「空を飛ぶ人間たち」みたいな違和感があったが、読んでみると面白い。 言葉というもののエッセンスを見極めたい、言葉のオールタナティブはありえるんだろうか、といった…

夏の宿題2021<人間の誕生は宇宙の必然か>(ポール・デイヴィス先生)

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2021/06/01/000000 からの続き ↓ コロナとオリンピックのことばかり考えているが、本当は私の「夏の宿題」を片づけないといけない。今年のテーマはポール・デイヴィス先生が示したテーマ<人間の誕生は宇宙の必然か>…

★囚人のジレンマ/リチャード・パワーズ(再読)

リチャード・パワーズ『囚人のジレンマ』を思い立って再読中。残りの人生はそう長くない(そう短くもないが)。本当に熟読したい小説は多いようでそう多くない。『挟み撃ち』も再読して本当によかった。 前に読んだのは2009年。 https://tokyocat.hatenadiar…

★挟み撃ち/後藤明生

先日ある人と久しぶりにオンラインで話をしたとき、ふと『挟み撃ち』(後藤明生)の名が出てきた。猛烈にまた読みたくなって読んでいる。何十年ぶりか。猛烈に面白い。 ただ、この小説の面白さは独特なので、どう面白いのかを自分なりに分析したくなる。しか…

本を長く読み続けるコツ

★本を長く読み続けるコツは、飽きたとかわからないとか思ったら、ぱっと中断すること。無理しても進まない。迷わず他の本に移る。また気が向いたときにさっと再開。人生や仕事も同じなので同じようにできるとよいが…(いや少し同じようにしているかも)

★高慢と偏見/ジェイン・オースティン(読了)

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2021/05/12/000000 から続く ↓ 『高慢と偏見』(ジェイン・オースティン/大島一彦訳)は読み終えている。映画でストーリーを知っていることもあり最後まで面白く進んだ。また、ピンポイントの挿絵が情景の想像を大い…

★映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』

映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』がアマゾンプライムにあったので視聴した。 現在の日本の問いとしても切実に響く。ナショナリストかコスモポリタンか。コミュニタリアンかリベラリストか。すなわち「天皇」と一言言って三島と共闘できるのかで…

人間の誕生は宇宙の必然か?

私たち人類のような存在がこの宇宙に出現したのは偶然だろうか? ーーこの問いに理論物理学者の多くが「偶然だよ」と にべもないなかで、ポール・デイヴィスという人だけは「偶然のわけがない」と以前から述べている。 偶然でないとは「必然」ということであ…

「2+3=5」がわかるとは?――『〈現実〉とは何か』をめぐって

たとえば「2+3=5」が私たちはわかる。というかこれが「わからない」なんてことがむしろわからない。しかし「2+3=5」で私たちは「何がわかっているのか」と問われると、かなり答えにくい。(たとえば猫は「2+3=5」がわかるのか? 人工知能はどうなのか? わ…

★高慢と偏見/ジェイン・オースティン

ジェイン・オースティン『高慢と偏見』(中公文庫)を読んでいる。 高慢と偏見|文庫|中央公論新社 先日チューリングの映画『イミテーション・ゲーム』で女優キーラ・ナイトレイが印象的で、それを機に彼女が主演の『プライドと偏見』を視聴することになり…

圏論とは?

実はいつも、「これまで知ったり思ったりしたことがなくて、最近初めてそうか!と知ったり思ったりしたこと」だけをツイートしている。それ以外はあまりツイートしていない。(みんなけっこうそうかもしれないし、いちいち言わなくていいことかもしれないが…

★生命とは何か/ポール・ナース

『生命とは何か』(ポール・ナース)を読んだ。 地球上にある生命の始まりが「たった1回」だったことを、著者は「驚くべき結論」と述懐する。それを受けて訳者(竹内薫)は《これほど壮大な物語はない》そしてこれこそ、少年期の著者が葛藤の末に捨てた《聖…

数学はスルメなのかという問い

https://twitter.com/kenichiromogi/status/1385451651499057153 《形式化の衝動は本来的に反生命的》 貴重な証言。最近の茂木さんの傾向を垣間見るかんじ。正しいかどうかはわからないものの。 「スルメを見てイカがわかるか!」と養老孟司さんが言ったこと…

★クララとお日さま/カズオ・イシグロ

カズオ・イシグロ『クララとお日さま』感想 https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2021/03/06/000000 からの続き ↓ 中断していたが再スタート。クララはアンドロイドと思われる。しかし彼女たちは人を選べる立場にない。店舗のショーウインドウで選んでく…

そうだったのか、ディープラーニング

なんと私は今、ディープラーニングが何なのかが、わかりつつある。 『相対化する知性』第2章読書中。 なんで今までわからなかったのか。わからなかったのではなく、今まで知らなかっただけだろう。もっと言えば、単にそれが書いてある本を読まなかっただけだ…