東京永久観光

【2019 輪廻転生】

文学

言語と一緒、ツイッターと一緒

人間は言語と一緒に生きている感じなので、言語から遠ざかってしまうと調子が出なくなると思う。そして今、言語とどこで一緒かというと、けっこうツイッターとかが主なので、ときどきは何でもいいのでツイートしないと、やっぱり調子が出ない感じだ。 とはい…

★黄金虫変奏曲(リチャード・パワーズ)再読開始

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/11/17/000000 ↓ 『黄金虫変奏曲』(リチャード・パワーズ)再読開始。小説の全体を知った今では、やけに難しく詳しく書かれていたと思えたことごとくが、語り手にはぜひとも書かないわけにはいかない細部だった…

★黄金虫変奏曲/リチャード・パワーズ(続続)

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/10/14/000000 から続く パワーズ『黄金虫変奏曲』ついに読了しつつある。思いはあふれるが一つだけ言おう。 ――とぼとぼたどってきたこの豊穣さは、もう一度たどり直したときこそ、本当に身にしみるだろう。君や…

割れて砕けて裂けて散るかも

そういえば先日は山県有朋の歌だったが、昨日は昨日で源実朝の歌に大勢の日本国民の心が動いたことだろう。和歌の国の私たち。こちらはリフレインがなかったので、私がもう一度。 大海の磯もとどろに寄する波 割れて砕けて裂けて散るかも 割れて砕けて裂けて…

★黄金虫変奏曲/リチャード・パワーズ(続)

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/09/10/000000 から続く 「mRNA」って何? 超過死亡の謎をめぐり日本国民は今しも改めてそれに注目していいる――のだが、個人的に3か月もかけて読み進んできた『黄金虫変奏曲』で、遺伝子の翻訳において不可欠なの…

★黄金虫変奏曲(続き)

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/06/12/000000 から続く 『黄金虫変奏曲』(パワーズ)まだ読書中。 3か月たって半分をやっと超えた。 長いが、ロシアとウクライナの戦争はもっと長い。なぜ人間は戦争をするのか。世界は今年実地にそれを観察し…

★されどわれらが日々――(古き良き?共産党)

「左翼的な過激団体と共産党の関係」(茂木発言)についてだけど―― 日本共産党が1955年の六全協で武装闘争を放棄したことは周知の歴史であり、以後いわゆる新左翼・過激派とはいわば宿敵同士になるはず。武装闘争放棄の前と後のどちらの日本共産党を真に評価…

★神の子どもたちはみな踊る/村上春樹 ほか(宗教をめぐる考察)

自ずと流され今日も考えている――宗教について。 たまたま少し前に村上春樹「神の子どもたちはみな踊る」を読み、神を信じる大物語ではなく小物語として奇妙に着地した感があった(ある読書会のために読んだのだが急な仕事で参加できず非常に残念) その前に…

Essential細胞生物学と黄金虫変奏曲

1950年代終わりまでに議論の的になったのは―― 《"暗号読解の問題"、すなわちRNA分子のヌクレオチドの並びに記された情報が、ヌクレオチドとは化学的にまったく別物であるアミノ酸の並びに翻訳されるしくみで、この問題に物理学から数学、化学まで、さまざま…

★黄金虫変奏曲/リチャード・パワーズ

リチャード・パワーズ『黄金虫変奏曲』を読み始めた。2段組800ページ余のたった20ページほどしか進んでいないが、もう私の一生で小説を読むのはこれが最後でいいんじゃないかと、そんなことを言いたくなっている。 たとえばフランスとオーストラリアに行った…

★現代文解釈の基礎〜山月記

『現代文解釈の基礎』(ちくま学芸文庫)を読んでいたら、「山月記」が出てきて、やはり面白く、先ほど青空文庫で通読してしまった。 https://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/624_14544.htm 次にWikipedia「中島敦」をブラウズすると、思いがけず質・…

★血と暴力の国(ノー・カントリー)

年末年始に用意した本の1つが『血と暴力の国』(映画『ノーカントリー』の原作)だったが、手にした日にほとんど読んでしまった。映画の静まりかえった緊張がそっくり蘇り、やめられなかった。原作に忠実な映画というより、見据えている何ものかの様相が完全…

夏の宿題がまだ片付かないのに、もう12月だ

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2021/09/27/000000 からの続き 実はあれからジム・ホルト『世界はなぜ「ある」のか』を改めて読んだ。宿題の本題である「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか」を考えるのに最良の副読本。文庫が出ていたので線を…

★舞踏会へ向かう三人の農夫

《自分には合わなそうだなと思う。それでこの小説についてはあきらめることにした。くやしいが、仕方ない》 この人はいつもこのように正直そのものだから、この人の言うことは信頼している。 とはいえ、私にとって『舞踏会へ向かう三人の農夫』は、これまで…

文学国語と論理国語

文学国語と論理国語、さて小林秀雄はどちらに入るのか。気になる。 言い換えれば批評とは何ぞや?

★囚人のジレンマ/リチャード・パワーズ(再読)

リチャード・パワーズ『囚人のジレンマ』を思い立って再読中。残りの人生はそう長くない(そう短くもないが)。本当に熟読したい小説は多いようでそう多くない。『挟み撃ち』も再読して本当によかった。 前に読んだのは2009年。 https://tokyocat.hatenadiar…

★挟み撃ち/後藤明生

先日ある人と久しぶりにオンラインで話をしたとき、ふと『挟み撃ち』(後藤明生)の名が出てきた。猛烈にまた読みたくなって読んでいる。何十年ぶりか。猛烈に面白い。 ただ、この小説の面白さは独特なので、どう面白いのかを自分なりに分析したくなる。しか…

★高慢と偏見/ジェイン・オースティン(読了)

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2021/05/12/000000 から続く ↓ 『高慢と偏見』(ジェイン・オースティン/大島一彦訳)は読み終えている。映画でストーリーを知っていることもあり最後まで面白く進んだ。また、ピンポイントの挿絵が情景の想像を大い…

★高慢と偏見/ジェイン・オースティン

ジェイン・オースティン『高慢と偏見』(中公文庫)を読んでいる。 高慢と偏見|文庫|中央公論新社 先日チューリングの映画『イミテーション・ゲーム』で女優キーラ・ナイトレイが印象的で、それを機に彼女が主演の『プライドと偏見』を視聴することになり…

★クララとお日さま/カズオ・イシグロ

カズオ・イシグロ『クララとお日さま』感想 https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2021/03/06/000000 からの続き ↓ 中断していたが再スタート。クララはアンドロイドと思われる。しかし彼女たちは人を選べる立場にない。店舗のショーウインドウで選んでく…

★推し、燃ゆ/★クララとお日さま

芥川賞「推し、燃ゆ」を読んだ。タイトルと冒頭のスピード感から、戯画的ノリで暴走していくかと予測したら、違った。ADHDと思われる心の不調が、推し活動と並んで前景化し、学校とネットとバイトの日々を、とろ火で煮込みながら描写していく体。丹精で客観…

★日の名残り/カズオ・イシグロ

『日の名残り』を読んでいる(未読だった)。執事の話だとは知っていたが半端ではない。半分過ぎてまだ銀食器の磨き方がとかやっている。「執事オタク」が歓喜する「執事小説」と言うべきだ。しかしなぜカズオ・イシグロは40歳代の半ばでこのような作品を書…

村上春樹、ロールシャッハテスト

韓国映画『バーニング』(2018年)を少し前に観た。監督は傑作ぞろいのイ・チャンドンなので大いに期待したが、私としては首をかしげたまま終わった。謎が解明せず話が決着しないなんて、まったくイ・チャンドンらしくない。 ところで、私は映画の前半あたり…

読む、書く

言葉は人類史の長きにわたって「聞く・話す」ものだった。近代にようやく「読む・書く」の手さぐりが始まったが、一般人の多くは縁遠かった。「読む・書く」が爆発したの実はインターネットだ。ところが、そのインターネットで「読む・書く」がいよいよ退潮…

工学と理学

直木賞は小説の工学、芥川賞は小説の理学。そんな感じかも。

スタンダール『赤と黒』(読了)

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2020/08/20/000000 ↓(続) 『赤と黒』は読み終えている。恋の炎、最後は昼メロかとおもうほど燃え上がる。そしてストーリーは急転直下(文字通り何かが急に落ちてきて終了) ※以下は読書中のメモ(ほんの少し) 《町…

★スタンダール『赤と黒』(続)

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2020/07/30/000000 ↓(続) スタンダール『赤と黒』をまだ読んでいる。 下巻に入ると、ジュリヤンと貴族令嬢マチルドの恋の駆け引きみたいなことが グダグダと続き、それは純真だけど幼稚にも見えて、少々退屈だった…

★赤と黒

『赤と黒』(光文社古典新訳文庫)読書は下巻へ。 ジュリヤンはパリに上京。高名な侯爵に秘書として仕え、その邸宅で一家とともに暮らしている。貴族のサロンというものが描写される。それは爵位や勲章を携えたマウンティング合戦のようでもある。ジュリヤン…

ダーウィンとジュリアン・ソレル

ダーウィンは1809年生まれ。『赤と黒』の主人公ジュリヤン・ソレルと同い年かもしれないと知る。ただし、ジュリヤンは庶民の家に生まれナポレオンにあこがれて立身出世を夢見たのに対し、ダーウィンはとても裕福な家に生まれ、研究者になりたいと考えた。ぜ…

夏の宿題 2020 〜アップダイク、『赤と黒』〜

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2020/07/09/000000 ↓ その私に併走してくれる本が1冊ある。『世界はなぜ「ある」のか』(ジム・ホルト) 未読だった部分を読んでいる。 同書は、著者がこの人にこそと思う複数の人に会いにいき「世界はなぜあると思い…