文学
地上波とはまったく異なるTBSがネットにはあるね。 作家から、このようにしか聴けないような話をまさに聞いている感じがして、素晴らしいが、聞き手がまた、ことごとく作家に同期している感じがして、それも素晴らしい。
「敵の敵は味方」というのは、社会法則なのだろうか、自然法則なのだろうか? そんな基本的な問いが浮かんだ。というのも── 啓蒙の18世紀の小説『カンディド』(ヴォルテール)を読んでいる。作中、南米の人食い族がイエズス会士を獲物にする。ヨーロッパか…
小説を読むというのは、小説を書くことを自分の代わりに誰かにやってもらうことかもしれない。つまり代行。ついでに感想を書くことも代行してもらう(下) 釈華は紗花に人生を代行してもらったのかもしれない。 というか、そもそも、機械の体と機械の通信装…
19世紀末の小説を読む。コンラッド『闇の奥』。 テムズ河に停泊している小型船や、ブリュッセルの街にある会社の受付などが、描写される。読みながらひとつひとつを想像する。 Gemini作成 考えてみれば、この時期、小説こそが世界すべてのメディアであり、世…
▼「近代小説」を再評価する―世界を読み解く思考基盤|鴻巣友季子×福嶋亮大×宇野常寛 近代の小説とはどのように出来ている? そもそも何をしている? 本格派の投手2人が本気のキャッチボール。 <死生観に向き合わざるをえない私たち> <中心にある太陽では…
ドン・キホーテを初めて読んでいる(ドン・キホーテの年もはるかに過ぎて今さらなぜか)。騎士道物語を読みすぎて自分が遍歴の騎士と思い込み冒険に出かけてしまう小説、として知られているわけだが、冒頭からまったくそのとおりで、有名観光地のツアー客に…
文学というのは、あらゆる人に長い話があることを示すものであり、長い話に付き合うならば、全然理解できず、反感すら抱くような人に対しても、「そういうことがあったなら、自分でもそうしてしまうと思う」という感覚が芽生えることを教えるものだ。異人の…
ある人があるところで「村田沙也加『世界99』の愛玩動物ピョルコン」と書いていて、「あ、そうだったんだ。ずっとピョコルンだと思ってた」となって、念のため書籍を確認してみたら、ピョコルンだった。ピョルコンもありそうだが、ちょっと怪獣っぽい。…そん…
『2001年宇宙の旅』原作。再読している。 素晴らしい。 モノリスに出会ったヒトザルに何が起こったか。映画では、道具と攻撃という物体と行動を使って決定的な変化を端的に見せるが、小説では、そのときの内面の覚醒を描写している。なるほど、それはつまり…
いろいろあってトーマス・マン『魔の山』も読んでいる。かなり長いが教養小説とはどんなものかとの興味もあって少しずつ。しかしサナトリウムの日々がやけに詳しく描かれるばかりで、ストーリーの進みは鈍牛のごとし。3分の1も読んでやっと「なんだやっぱり…
https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2025/03/27/000000 ↓(続き) ある人を正しく知るのが難しいように、自分の性格や生活ですら全体を正しく知るのは難しい。せめて一遍の小説ならと思って読むのかも。『世界99』とか(まだ読んでいる)。しかしけっこ…
戦争がこの世に絶えることがないように、信仰もこの世に絶えることがないのか。 そういう、わざわざ言ってもどうしようもないからいちいち言わないようにしていることを、むしろひたすら書いてみることにしたのが、村田沙耶香『世界99』なのだろうか? 『世…
ちょうど内田百閒の借金譚「地獄の門」「債鬼」を読んでいた。 昭和8年刊『百鬼園随筆』より。「地獄の門」も、実は取り立てる側が、因果の報いか、思いがけず命を落としてしまう展開。もちろん借金の主たる官吏(百閒)もしみじみと地獄の日々。 (この事件…
芥川賞「ゲーテはすべてを言った」(鈴木結生)。冒頭からどうしたって大江健三郎を思わせるが、どうなんだろう、この小説は人文学系の知識や思考それ自体を描きたいのか。あるいは背後に見え隠れする家族関係の細部の妙に触れていきたいのか。まだわからな…
ノーベル賞作家ハン・ガンの「菜食主義者」は読み終えた。 ヒロインのイメージは作者と重なるのに、語り手をあえて別の人物に設定したことが気になった。3連作いずれも。彼女はなぜそうするのか・それをどう思ったのか、内面ズバリの描写は自ずと現れにくく…
《「メキシコに壁の建設費を払わせる」この暴言をジャーナリストは文字通りに理解しながらも真剣には受け止めなかった。しかしトランプ支持者はこれを文字通りには理解しなかったものの主張を真剣に受け止めたのだ》 そう分析しているのは、とても説得力のあ…
安部公房の映画が上映されているのでみてきた。『砂の女』と『燃えつきた地図』。ともに初視聴。 『砂の女』は「まさにこんな映像を思い浮かべて(大昔に)読んだかも」と思った。 『燃えつきた地図』は冒頭の団地に登っていく道路がまさに原作のイメージだ…
物理学は数式を変形してやっと何ごとかがわかる。これは哲学が文章を変形してやっと何ごとかがわかるのと同じだ。そんなことに気がついた。だから物理学が難しくても我慢すべきだ。哲学が難しいのも道理なのだ。難しいのは不得手だし好きですらない。しかし…
https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2024/03/04/000000 から続く ねじまき鳥クロニクル(村上春樹) 長くかかったが読み終えた。 シンボルの物語がシンボルのまま片付いていったという感じか(何のシンボルかは個々人それぞれが思い当たればいい。大きく…
二十世紀フランスの哲学者ジル・ドゥルーズは、人間は基本的にものを考えることをしないと述べています。(『哲学の門前』吉川浩満) ーーそうなのか… それはそれとして、同書の冒頭「Call me Ishmael」で始まる回想が、意表をつき、そして飛び抜けて面白か…
佐々木敦『それを小説と呼ぶ』で、テッド・チャン「あなたの人生の物語」そして映画『メッセージ』の読み取りが素晴らしかった。少なくとも私にとってはコンプリートだった。「神を超えるもの」というタイトルにふさわしい内容。
https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2024/03/02/000000 続き↓ 『ねじまき鳥クロニクル』第1部の結末。そうだったのか!(すっかり忘れていた) 次に引用する(ネタバレとも言えるので注意) 本田さんが形見として僕に残してくれたものは何だったか ★★★★…
https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2024/02/27/000000 続く↓ 『光る君へ』では前回も花山天皇の死んだ后が巫女にのりうつって出てきて壮観だったし、かたや『ねじまき鳥クロニクル』がまた加納マルタとか思い切りまるきりスピリチュアルで、だがしかし…
《ひとりの人間が、他のひとりの人間について十全に理解するというのは果たして可能なことなのだろうか》 考えをそうとう巡らせたあげく、結局こうしたありふれた文言が浮かんできて、それをツイートしてしまうのは、私には毎度のことなのだが、しかし上記は…
『本格小説』(水村美苗)を再読することにしたら、もう止まらない。何が面白いのか考えて、つまるところ写実が徹底されているからだと思った(もちろん虚構なのだが)。写実の日本・写実の歴史というものの上に、人々の本当にこうだっただろうという生涯が…
阪神が日本一になったので、『優雅で感傷的な日本野球』(高橋源一郎)を久しぶりに読むことにした。初出は『文藝』。1985年11月号から連載が始まったようだ。 全部すーっと読んでしまった。面白いとしか言いようがない。まったく難解ではないのだった。ただ…
量子が実在でなく情報にすぎないのは本当かもしれない。しかしそれは、人の人生が人の想像に勝らない、というような話だろう。電子の存在も君の手の存在もあやふやであるようには、君の人生も君の想像もあやふやだ。しかし見方を換えれば、君の人生も君の想…
久しぶりに相対性理論の本とか不完全性定理の本とか読んでいて、頭がいつになく疲労したのか、おかしな夢を見た。夜の星を眺めていると急に空が青くなってきた。なぜか太陽が出ているのだ。しかも太陽は穴になっていてそこから水が地上に流れ落ちてきた。天…
「プラス松竹」忘れていた名作がまだいろいろ。 小栗康平『伽倻子のために』 こんな映画があったなあ。そもそも在日の苦闘があったのだなあ。いや在日の存在自体もう歴史に書かれるだけの出来事みたいだなあ。それどころか私は2012年にサハリン旅行したのに…
「君の考えの経路を逆にたどってみることにしよう」(モルグ街の殺人)――現代ではデュパンがいなくてもブラウザの履歴をたどってみれば一目瞭然! www.aozora.gr.jp