文学

トランプ関連記事(連想:日本蒙昧前史/磯﨑憲一郎)

《「メキシコに壁の建設費を払わせる」この暴言をジャーナリストは文字通りに理解しながらも真剣には受け止めなかった。しかしトランプ支持者はこれを文字通りには理解しなかったものの主張を真剣に受け止めたのだ》 そう分析しているのは、とても説得力のあ…

映画『砂の女』『燃えつきた地図』

安部公房の映画が上映されているのでみてきた。『砂の女』と『燃えつきた地図』。ともに初視聴。 『砂の女』は「まさにこんな映像を思い浮かべて(大昔に)読んだかも」と思った。 『燃えつきた地図』は冒頭の団地に登っていく道路がまさに原作のイメージだ…

★百年の孤独(ガルシア=マルケス)

物理学は数式を変形してやっと何ごとかがわかる。これは哲学が文章を変形してやっと何ごとかがわかるのと同じだ。そんなことに気がついた。だから物理学が難しくても我慢すべきだ。哲学が難しいのも道理なのだ。難しいのは不得手だし好きですらない。しかし…

ねじまき鳥クロニクル/村上春樹(読了)

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2024/03/04/000000 から続く ねじまき鳥クロニクル(村上春樹) 長くかかったが読み終えた。 シンボルの物語がシンボルのまま片付いていったという感じか(何のシンボルかは個々人それぞれが思い当たればいい。大きく…

★哲学の門前/吉川浩満

二十世紀フランスの哲学者ジル・ドゥルーズは、人間は基本的にものを考えることをしないと述べています。(『哲学の門前』吉川浩満) ーーそうなのか… それはそれとして、同書の冒頭「Call me Ishmael」で始まる回想が、意表をつき、そして飛び抜けて面白か…

★佐々木敦『それを小説と呼ぶ』

佐々木敦『それを小説と呼ぶ』で、テッド・チャン「あなたの人生の物語」そして映画『メッセージ』の読み取りが素晴らしかった。少なくとも私にとってはコンプリートだった。「神を超えるもの」というタイトルにふさわしい内容。

『ねじまき鳥クロニクル』第1部→第2部

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2024/03/02/000000 続き↓ 『ねじまき鳥クロニクル』第1部の結末。そうだったのか!(すっかり忘れていた) 次に引用する(ネタバレとも言えるので注意) 本田さんが形見として僕に残してくれたものは何だったか ★★★★…

光る君へ、ねじまき鳥、スピリチュアル

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2024/02/27/000000 続く↓ 『光る君へ』では前回も花山天皇の死んだ后が巫女にのりうつって出てきて壮観だったし、かたや『ねじまき鳥クロニクル』がまた加納マルタとか思い切りまるきりスピリチュアルで、だがしかし…

★ねじまき鳥クロニクル(再読)

《ひとりの人間が、他のひとりの人間について十全に理解するというのは果たして可能なことなのだろうか》 考えをそうとう巡らせたあげく、結局こうしたありふれた文言が浮かんできて、それをツイートしてしまうのは、私には毎度のことなのだが、しかし上記は…

★本格小説/水村美苗

『本格小説』(水村美苗)を再読することにしたら、もう止まらない。何が面白いのか考えて、つまるところ写実が徹底されているからだと思った(もちろん虚構なのだが)。写実の日本・写実の歴史というものの上に、人々の本当にこうだっただろうという生涯が…

★優雅で感傷的な日本野球/高橋源一郎

阪神が日本一になったので、『優雅で感傷的な日本野球』(高橋源一郎)を久しぶりに読むことにした。初出は『文藝』。1985年11月号から連載が始まったようだ。 全部すーっと読んでしまった。面白いとしか言いようがない。まったく難解ではないのだった。ただ…

量子の話と小説の話

量子が実在でなく情報にすぎないのは本当かもしれない。しかしそれは、人の人生が人の想像に勝らない、というような話だろう。電子の存在も君の手の存在もあやふやであるようには、君の人生も君の想像もあやふやだ。しかし見方を換えれば、君の人生も君の想…

百間っぽい夢

久しぶりに相対性理論の本とか不完全性定理の本とか読んでいて、頭がいつになく疲労したのか、おかしな夢を見た。夜の星を眺めていると急に空が青くなってきた。なぜか太陽が出ているのだ。しかも太陽は穴になっていてそこから水が地上に流れ落ちてきた。天…

★伽倻子のために/小栗康平

「プラス松竹」忘れていた名作がまだいろいろ。 小栗康平『伽倻子のために』 こんな映画があったなあ。そもそも在日の苦闘があったのだなあ。いや在日の存在自体もう歴史に書かれるだけの出来事みたいだなあ。それどころか私は2012年にサハリン旅行したのに…

「君の考えの経路を逆にたどってみることにしよう」

「君の考えの経路を逆にたどってみることにしよう」(モルグ街の殺人)――現代ではデュパンがいなくてもブラウザの履歴をたどってみれば一目瞭然! www.aozora.gr.jp

★エレクトリック/千葉雅也

千葉雅也『エレクトリック』面白い。作家と等身大の青年が出身地で家族や同級生と過ごす日々。読む人はきっと自分が高校や子供のときはどうだったっけと思い返す。そして小説を一度でも書こうと思ったり書いたりした人なら、自分ならこれをどう振り返りどう…

★チャールズ・ブコウスキー『パルプ』

「あんたって昔から、自分に何が必要なのか全然わかってなかったわね」「そうかもしれんが、自分に何か必要ないかはわかってるさ」――チャールズ・ブコウスキー『パルプ』から(柴田元幸訳・ちくま文庫)……なおこの会話は別れた妻とふいに出くわしたときのも…

★黄色い家/川上未映子

川上未映子『黄色い家』。面白く、読みやすく、あっというまに読了。 以前の『夏物語』もそうだったが、文化資本の乏しさということをまず思った。生まれ育った家にちゃんとした本なんて1冊もなかったなというあの感じ(私の家もそんな感じだった) そして…

★イワン・イリッチの死/トルストイ

ベートーベン 弦楽四重奏曲 第14番 第1楽章 - 東京永久観光 先日はベートーベンの旋律に「本当の終わりを知らない」という歌詞を戯れのようにつけてみたが(上)、「本当の終わり」がいかなるものかは、この小説に書いてあった。苦痛・恐怖・絶望、それ以外…

言語と一緒、ツイッターと一緒

人間は言語と一緒に生きている感じなので、言語から遠ざかってしまうと調子が出なくなると思う。そして今、言語とどこで一緒かというと、けっこうツイッターとかが主なので、ときどきは何でもいいのでツイートしないと、やっぱり調子が出ない感じだ。 とはい…

★黄金虫変奏曲(リチャード・パワーズ)再読開始

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/11/17/000000 ↓ 『黄金虫変奏曲』(リチャード・パワーズ)再読開始。小説の全体を知った今では、やけに難しく詳しく書かれていたと思えたことごとくが、語り手にはぜひとも書かないわけにはいかない細部だった…

★黄金虫変奏曲/リチャード・パワーズ(続続)

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/10/14/000000 から続く パワーズ『黄金虫変奏曲』ついに読了しつつある。思いはあふれるが一つだけ言おう。 ――とぼとぼたどってきたこの豊穣さは、もう一度たどり直したときこそ、本当に身にしみるだろう。君や…

割れて砕けて裂けて散るかも

そういえば先日は山県有朋の歌だったが、昨日は昨日で源実朝の歌に大勢の日本国民の心が動いたことだろう。和歌の国の私たち。こちらはリフレインがなかったので、私がもう一度。 大海の磯もとどろに寄する波 割れて砕けて裂けて散るかも 割れて砕けて裂けて…

★黄金虫変奏曲/リチャード・パワーズ(続)

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/09/10/000000 から続く 「mRNA」って何? 超過死亡の謎をめぐり日本国民は今しも改めてそれに注目していいる――のだが、個人的に3か月もかけて読み進んできた『黄金虫変奏曲』で、遺伝子の翻訳において不可欠なの…

★黄金虫変奏曲(続き)

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2022/06/12/000000 から続く 『黄金虫変奏曲』(パワーズ)まだ読書中。 3か月たって半分をやっと超えた。 長いが、ロシアとウクライナの戦争はもっと長い。なぜ人間は戦争をするのか。世界は今年実地にそれを観察し…

★されどわれらが日々――(古き良き?共産党)

「左翼的な過激団体と共産党の関係」(茂木発言)についてだけど―― 日本共産党が1955年の六全協で武装闘争を放棄したことは周知の歴史であり、以後いわゆる新左翼・過激派とはいわば宿敵同士になるはず。武装闘争放棄の前と後のどちらの日本共産党を真に評価…

★神の子どもたちはみな踊る/村上春樹 ほか(宗教をめぐる考察)

自ずと流され今日も考えている――宗教について。 たまたま少し前に村上春樹「神の子どもたちはみな踊る」を読み、神を信じる大物語ではなく小物語として奇妙に着地した感があった(ある読書会のために読んだのだが急な仕事で参加できず非常に残念) その前に…

Essential細胞生物学と黄金虫変奏曲

1950年代終わりまでに議論の的になったのは―― 《"暗号読解の問題"、すなわちRNA分子のヌクレオチドの並びに記された情報が、ヌクレオチドとは化学的にまったく別物であるアミノ酸の並びに翻訳されるしくみで、この問題に物理学から数学、化学まで、さまざま…

★黄金虫変奏曲/リチャード・パワーズ

リチャード・パワーズ『黄金虫変奏曲』を読み始めた。2段組800ページ余のたった20ページほどしか進んでいないが、もう私の一生で小説を読むのはこれが最後でいいんじゃないかと、そんなことを言いたくなっている。 たとえばフランスとオーストラリアに行った…

★現代文解釈の基礎〜山月記

『現代文解釈の基礎』(ちくま学芸文庫)を読んでいたら、「山月記」が出てきて、やはり面白く、先ほど青空文庫で通読してしまった。 https://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/624_14544.htm 次にWikipedia「中島敦」をブラウズすると、思いがけず質・…