東京永久観光

【2019 輪廻転生】

文学

改元ジャパニアン狂詩曲

ゼロサムか、なるほど〜 * この2か月あまり仕事が怒涛のごとくで、やっと波が引いたら、ふと『騎士団長殺し』の続きが読みたくなった。仕事システム世界とは完全に異なる秩序と相貌としか言いようがない春樹システム世界。文庫化されるとか? あやうく令和…

川上量生☓松尾豊☓井上智洋 鼎談

「デジタル・レーニン主義」という用語があるそうだ。中国などの全体主義の国がAIを使って人々を統治するような文脈。文藝春秋3月号の川上量生☓松尾豊☓井上智洋お三方の鼎談で。 実はこの文春、芥川賞「ニムロッド」(上田岳弘)を読もうと思い手にした。「…

平成の30冊

https://book.asahi.com/feature/11021311 「識者120人が選ばなかった平成の30冊」ということなら、私はまず『逆光』と言いたいが、しかし平成のうちに読み終わらないことも確実になってきたのであった。

私たち知性の特殊性と普遍性

★ランドスケープと夏の定理/高島雄哉 表題作を読んだ。まさに日本のテッド・チャンかグレッグ・イーガン(誰しもそう言うだろう) 作中まず「知性定理」なるものが示される。「知性は互いに翻訳可能」という原理。つまり私たちの数学や言語はいかなるAIや異…

★夜の果てへの旅/セリーヌ

http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20180801/p1 から続く。 ずいぶん日が経ったが、セリーヌ『夜の果てへの旅』は読み終えた。記憶が流れて消えていかぬよう、少し書き留めておきたい。 =以下はすべて下巻について= 上巻は、第一次大戦の前線、その銃後のパ…

政治や文学は2次元? 空間は3次元?

政治的立場がX軸とY軸の座標で解説されることがよくある。左翼か右翼かがX軸、大きな政府か小さな政府かがY軸、など。最近の例↓ https://cakes.mu/posts/22235少し前には、文学的立場までがX軸(物語〜言語)とY軸(社会〜個人)の地図で示されていた(文藝2…

体で計算するコンピューター(日経サイエンス記事)

http://www.nikkei-science.com/201808_032.html 計算士を思い出した(世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド)

「こんばんは、村上春樹です」

なんだろうか、この、文学がないかんじ。(ラジオ視聴)

★取り替え子/大江健三郎

この続編にあたる『憂い顔の童子』を読んだときの感想が「ぎくしゃく」だったが、まったく同じで、古義人のやることや考えることや言うことは、ぎくしゃくぎくしゃく。ああこういう内閉的個性的モードで仕事や生活をしていいんだという安堵と確信に満たされ…

★夜の果てへの旅/セリーヌ

気が向いて小説を二つ読み始めた。セリーヌ『夜の果てへの旅』と大江健三郎『取り替え子』。どちらも初めての本。ネットからなんとしてでも離れようという動機が隠れていたかもしれない。 ◎大江健三郎『取り替え子』についてはこちらへ セリーヌ『夜の果てへ…

★忘却の河/福永武彦

こんなに古い、それこそ忘却されてしまったかのごときこの小説を、それでも今夜だれか一人や二人は読んでいないかと、なんどもツイッターを検索したが、やはりいつも誰も読んでいなかった。出てくるのはbotだけ。でも私は読んだ。この小説のことを思い出した…

ハムレットを初めて読んだ

「ハムレット」を読んだことがなかったので読んだ(福田恆存訳)。ハムレットが屋敷に劇団を呼んで劇中劇が展開され、それがストーリーの結節点になるということも初めて知った。なお、ハムレットは役者の演技というものについて指導というか愚痴をくどくど…

★逆光/トマス・ピンチョン

再読することにした。いったん読了した上巻の最初から。「また読まなきゃ」と気になりつつ5年ぶり。とはいえ、私の場合、「また会わなきゃ」と思いつつ5年たってから会った人もいれば、10年たって会っていない人もいるので、驚いてはいけない。すぐに思った…

★村の家/中野重治  ★吉本隆明1968/鹿島茂

食事では ありふれたものばかり食べるが、読書では めずらしいものをわりと読む。最近では、中野重治「村の家」。なんでまた「村の家」を読んだのかというと―― 中野重治は私の郷里福井県の出身で田んぼの中にある生家跡を訪ねた記憶もうっすらある、というこ…

★鈴木大拙『禅』――そして坂口安吾、ウィトゲンシュタイン

禅について、ちゃんとしたものを読んだことがないのは いかにもまずいと ずっと思っていたが、鈴木大拙『禅』(筑摩書房)という手ごろな一冊があったので、手にしている。 (ワイド版)禅を知らないといっても、日本にいれば何らか聞きかじるものであり、な…

★塔と重力/上田岳弘

表題作を読んだ。現在の状況の何が最も気になるのかという点でやはり強く共感。とはいえ感想はうまく言えない。それでもここにこうしてなにかつぶやくのは、それを読んだという確信、そして今日もとりあえず生きているという確信を欲した、手探りなのだろう…

★あなたの人生の物語/テッド・チャン(再読)

再読したけど、まさに科学的空想が至上の域にまで練り上げられている感。これから何が起こるか私は全部知っているのだけれど、だからといって、抵抗はしないし、退屈もしない、それに自我が消えてしまうわけでもない、そんな境地とは?その境地。単純な例と…

少なくともそれは文学ではない

100%ただつまらない間違いに、100%ただ正しい反論を述べる。そんな単純な人だったわけがないのに…(エアリプ批評)

★キュー/上田岳弘

上田岳弘「キュー」第1回をやっと読む。新潮10月号。原爆と第九条に言及。かと思えばトランプまで大げさでもなく登場。「私の恋人」に点描されていた多種の要素がやはり満を持して長いストーリーで展開していくのかという期待。浮かんでくるテーマと言うなら…

★キュー/上田岳弘(新潮)

https://twitter.com/kuboon/status/903781425945731073 この作家はやはりこうした主題(知的生命体の進歩)に取り組むのだ! ◎なぜ『新潮』が新作をヤフーで掲載するのか? 編集長が語る新たな挑戦 https://www.buzzfeed.com/jp/satoruishido/shincho?utm_t…

80年代、村上春樹、高橋源一郎、吉本隆明

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』と『優雅で感傷的な日本野球』、吉本隆明による当時の書評がネットに出ているので、読んでみた。小説自体を読み直しているかのごとく はまりこむ。◎https://allreviews.jp/review/490◎https://allreviews.jp/…

★飼育・死者の奢り/大江健三郎

さっきひと眠りしたら、社会の劣化と深刻な恐怖におののく夢をみた。眠る前に大江健三郎の「飼育」を読み終えたせいだと思われる。江藤淳によるその短い解説も読んだせいだと思われる。こんな特異で強烈な反応をもたらすような小説に、近ごろあまり触れてい…

あなたの人生の物語/テッド・チャン

映画『メッセージ』は未見だが、原作「あなたの人生の物語」を昨日読んだ。ある地球外知性とのコンタクトが描かれ、それを通して浮かび上がってくるのは、なんと言語表記のはてしない可能性、かつまた物理表記のはてしない多様性だった!(私がときどき夢想…

★騎士団長殺し/村上春樹

《たそがれには うつむきかげんの 少女が よく似合う 悲しそうな 目をして たたずんでいる 一人ぼっちで 僕はといえば 古びた ギターケースに 腰掛け くわえたタバコに 火をつけて ため息ひとつ こぼした》 唐突だが、これは70年代、私がまだ10代だったころ…

★騎士団長殺し/村上春樹

仕事関係や森友関係でずっと忙しく、『騎士団長殺し』をやっと再開。村上春樹は、価値が高いものと思って長年慣れ親しんできたわけだが、ひょっとしてそもそも最初から無価値だった、ということが判明したら、どうするのだろうか、私の人生。これは、左派の…

村上春樹『騎士団長殺し』

読み始めた。これを買う70万とかいう読者のなかで、私は何番目くらいにこの本が「わかる」のか、それははななだ不明だが、それでもこの本が「好き」かどうかとなると、けっこう自信がある。各章のタイトルを目にしただけで、その世界にはまりこむ感あり。そ…

さすが筒井康隆

「日本でも早く安楽死法案通してもらいたい」 * それはそれとして――格納容器、最大530シーベルトの線量推定 福島2号機(朝日新聞2月2日)圧力容器の真下に位置する格納容器の底、などという場所のことは、すっかり忘れていた。というか、どうしても忘れ…

★コンビニ人間/村田沙耶香(芥川賞)

読んでいてずっと、おもしろくなりそうなんだけど、どこかパンチが効いてこないままだった、というか。前に「消滅世界」も少し読んだのだのと合わせていうと、ヘテロではないがLでもGでもBでもTでもなく、いわば無というか草食のきわみというか、この作家は…

★敗戦後論/加藤典洋

加藤典洋『敗戦後論』を読み返している。突出して意義の深い考察がなされている。私が読んできた本のなかでは明らかに群を抜いている。驚くしかない。というか、それほど意義の深い考察ならば、20年たったからといって中身をこれほど忘れていたのはどうなん…

行為と規則

ノーベル文学賞のパラドクスはこうであった。すなわち規則は行為の仕方を決定できない。なぜなら、いかなる行為の仕方もその規則と一致させられ得るから。ボブ・ディランがふいに選ばれてしまうのがノーベル文学賞であり、村上春樹が選ばれるんじゃないかと…