きょうはこれを生視聴中。
養老さんの話はどれも、私たちの知性の魂を静かに揺り動かす感じだった。特に興味をひかれたのは、「時間とともに変化するものを私たちは如何にして捉えることができるのか(できないのではないか)」(趣旨)という話。歴史も、さらには進化も、いわば便宜的な説明にすぎないのではと疑う。
<細胞という常に変化する物質システムを遺伝子という固定した情報記号が捉えきれるのか?><脳という常に変化する物質システムを言語という固定した情報記号が捉えきれるのか?>――養老さんは以前からこの洞察を示していた(『人間科学』)。それが生きたスピーチとして飛び出してきた!
(参照:http://www.mayq.net/ningenkagaku.html)
もう1つ息をひそめるように聞いたのは、「明治維新という激変による人々の大きなトラウマを一身に引き受けた人物こそが西郷隆盛だったのではないか」(趣旨)という話。同じく「戦前から戦後へ、価値観の極端な転倒によるトラウマを私たちはどう引き受けてきたのだろう?」(同)と問う。
それをめぐる以下の趣旨の述懐。「加藤典洋の『敗戦後論』を、気になって読まないといけないと思いながら長く読めなかった。今になって、加藤さんが亡くなったあとでやっと読むことができた。 加藤さんが生きていたらいろいろ話をしたかった」
ーー私には特に貴重な証言だった。
ほかにも、世界の真実が数多解明される回でもあった。たとえば――
「サヨクは割り勘!」(07:38:53)