統計は何をしているのか。案外シンプルなところに絞られる。要するに、Aという現象とBという現象に関連はあるのか、あるならどの程度あるのか。それを数学的に正確につきとめることに尽きる。それがよくわかった。
しかも意外だが、統計は私たちの直感を裏切るものではないと感じた。だから、「数字のマジック」などとよく言うが、指摘されれば「そうだよ、なんかおかしいと思ったよ」とだれもがうなずける程度のマジックだ。統計はむしろ、私たちの疑い深い数学的な直感を、最終的には根拠づけ勇気づけてくれるのではないか。(もちろん直感特有の限界はあるのだが)
統計の本をなにかちゃんと読もうと思ったのは、日経サイエンスの編集者とおぼしき人が、こんなツイートをしていたこともある。
《記者に最も必要な知識をひとつだけ挙げよと言われたら,私は統計を推す》
https://twitter.com/ayafuruta/status/338989771818942465
きょうび科学記事に限らず統計的にものを言う記事はじつに多い。統計的にものを言う議論もじつに多い。だから、最低限のことを知らないと本当にまずい。その最低限のことをこの本はしっかり書いているように思う。