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【2019 輪廻転生】

★リーマンの数学と思想/加藤文元

加藤文元さんという数学者を知り、きっときわめて際どく深いところを掘り下げているという直観に、この1年引かれてきて、ついに主著かもしれない『リーマンの数学と思想』を手にした。こんなことが書いてあるに違いないという、それが本当に書いてあり、感動するほかない。

とはいえ、リーマンの数学を具体的にはまったく知らず読んでも理解できないことは100%予測される。しかしそれにもかかわらず、そのリーマンの数学について語られるメタ的で抽象的な位置づけのほうは、これほど私の頭に響き共感しているのが事実だとしか思えない。いったいどういうことだろう。

 

カントが言った「物自体」という山には誰も登れないが、その理由は高いからでも険しいからでもなく、いわばその山はあの世にしかないからだ。ところがなんと19世紀の数学は、それとはまた違った物自体を新たに生み出した(ということになる)。この世ではなく、あの世でもなく、どんな世だ?