東京永久観光

【2019 輪廻転生】

1Q84 BOOK3 p366まで


「なあ、天吾くん。ちょっと思ったんだが、俺たちが目にしているふかえりが実はドウタで、教団の中に残っているのがマザだという仮説は成り立たないだろうか?」

こんな問いをめぐって、いい大人が休日の貴重な時間を費やして思案する。

そうすることで、たとえば普天間の解決策も見えてくるのだろうか。たとえばパレスチナアフガニスタンの人びとの役に立つことが少しでもあるのだろうか。

村上春樹を信じる人は「YES」と答えるのだろう。「NO」と答えるのはそうではない人なのだろう。(しかしもっと重要なのは、たとえばワールド文学カップの小説をあらかた読んだような文学信者=村上信者と同一ではない=が、本当に「YES」と答えるかどうかではないか)

私は結局 村上教の信徒なので、聖なる預言を日夜ただありがたく読む。そこに隠されているとおぼしきこの世の真実を探してみる。

…とはいうものの。青豆はいつのまにかひとりで妊娠している。そうした展開をどう受けとめればいいのだろう。迷う。教祖は間違ったことを伝えてはいないのか。月が空に二つあるのを物語における事実として受け容れたように、こちらもただ受け容れればいいのか。

そんなことを考えだすと、青豆の章などはどうも観念的な堂々めぐりに感じられてくる。しかしそれにひきかえ、牛河の章の面白さ! 標準的価値観から大きく外れた容貌をもつからといって小説の主役に不適当であると決まったわけではない。

負けるな、牛河! ふかえりみたいなよくわからない奴に、なんでお前までそう簡単にうちのめされてしまうんだよ!!

……いや、NHK集金人こそが陰の主役? それにしても、ここまでしつこいと、1Q84をNHKの番組で取り上げにくくなってしまうのでは。と余計な心配。


1Q84 BOOK3/村上春樹
 1Q84 BOOK 3