東京永久観光

【2019 輪廻転生】

遺伝情報が暗号と呼ばれるのはなぜだろう? 

遺伝情報が暗号と呼ばれるのはなぜだろう? 

核酸3つの特定配列をもつ遺伝子」と「特定のアミノ酸1つ」が繋がるとき、それが化学反応として起こるわけではないからだと、私は思っている(間違っているかもしれないが)。

「化学反応ではない」とは「記号反応である」ということだ。

かつて夫が「お茶」と言うと妻がそれを持ってきた時代があったそうだが、これと同じく「お茶」という音声や文字は液体の物質であるお茶とまったく似ていない。「お茶」という記号がわかる者がいないかぎりそれは出てこない。

ということは、あるコドン(核酸の塩基の3つの並び)が、あるアミノ酸の「記号」であると、誰かが知っていなければ、結びつかないのではないか(私の理解が間違っているかもしれないが)。

前々から薄々気になっていて、ちょっといろいろ勉強しているのだが、今日はまだ答えがわからない。

複雑に書いたが、簡単に言えば「DNA→タンパク質」という転換が「翻訳」と呼ばれるのは、記号が媒介するからだと思うのだ。詳しくはtRNAとmRNAさらにtRNAとアミノ酸を媒介する酵素が登場するが、そのプロセスのどこかで、化学反応とは本質的に異なる記号の応答が不可欠になる(私にはそう思える)

 

さらに言えば、タンパク質合成の「開始」と「停止」も、DNA(塩基3文字配列)が指示する。アミノ酸の手を引っ張ったり背中を押したりして否応なく開始させる(化学反応)わけではない(と思う)。いわば「開始」の旗と「停止」の旗が上がるのだ。しかし、その旗の意味を誰が知っているのか?

 

(10月2日)

この件―核酸アミノ酸はホントに暗号で結びつくのか? 真面目に調べている。ブルーバックス『新 大学生物学の教科書』(全3巻)。そして、細胞などで起こるできごとは、やはりことごとく化学反応の連鎖であることを、改めて思い知る。

とりわけ、いろいろなタンパク質の七変化が生命の営みのカナメになっている。各タンパク質はそれぞれ固有の三次元の形をもち、化学反応によってその形が変化し、さらなる化学反応を引き起こす。複雑、精妙としか言いようがない。

これを踏まえると、核酸3つの配列に応じてアミノ酸1つが決まるという仕組みも、当然なんらかの化学反応が繋いでいるのだろう。そう思いたくなるのは当然だ。というか、細胞のなかで「記号を誰かが読み取る」なんてあるはずがない、バカバカしい。――そう思うのはもっと遥かに当然だろう。

ところが。先ほどのブルーバックスを丹念に読んでみても、核酸からアミノ酸につながる具体的な化学反応は何も書かれていない。

実際には、DNAから複製されたtRNAが、核酸3配列を有し、それが指定するアミノ酸1つと、ある酵素を介して結合する。その仕組みは複雑で、そこにはたしかに化学反応も絡むと思われる。ところがそのとき、肝心の核酸3配列の、いかなる化学的性質が、いかなる化学的反応を起こすのか、それはまったく示されていない!

じゃあ、核酸アミノ酸は「化学」が繋いでいるのではなく、マジに「記号」が繋いでいるのか? おそらくそうではない。化学的に何が起こっているのか、実はまだ不明であり、そのために「暗号」と呼ばれるのではないか(私の錯誤でなければ)

 

妄想を膨らませているだけに見えるかもしれない。しかしけっこう真面目に勉強している。たとえば理化学研究所の以下のプレスリリース(2014年)などを熟読した。今の私には希少な参考資料となった。
https://www.riken.jp/press/2014/20140623_1/

 

それにしても――また最初の純朴な問いに戻って――

それでももし、遺伝子の情報が本当に暗号なのだとしたら、それは実に実に謎めいている。一方、やっぱり暗号ではなかったということになれば、遺伝子の情報の特別な面白さは消えてしまうことになるだろう。

 

◎『新 大学生物学の教科書』 

 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000316797

「遺伝暗号」については第2巻の第11章。