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【2019 輪廻転生】

ニュートンとダーウィンの革命

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2019/07/12/000000からと

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2019/06/11/000000からの続き

ニュートンがなぜ革命的だったのか。天体の動きの理由を探ろうとして、ニュートン以前は「地球や月がこう動くのは、地球や月になにか秘密があるに違いない」と考えた。ところがニュートンは「1つの法則がすべてを動かす。地球も月もただそれに従うだけだ」と考えた。

これは何でもないことのようで、私も何でもないことだと昨日まで思っていたが、ここにもう1つ別の革命を並べると、ことの重大さが見えてくる。もう1つとはダーウィンによる革命。

ダーウィン以前は、鳥がこうである理由を知りたくて鳥の特性を探った。馬がこうである理由を知りたくて馬の特性を探った。しかしダーウィンは違った。進化(変異と淘汰)という1つの法則がすべてを決めている。その法則に従って、鳥はこうなった。馬はこうなった。人間もこうなった、と。

 

上記のことは実はデイヴィッド・ドイッチュが指摘していたのだった。昨日までにツイートした『世界はなぜ「ある」のか』で著者がドイッチュの家を訪ねたとき、彼はこう述べたという。

引用すると――

「じつを言えば、説明が重要な進歩を遂げることで、説明の意味自体が変わることもよくあります。私の好きな例は、ガリレオからニュートンにかけての革命です。それは新しい物理法則をもたらしただけではなく、物理法則とは何かという概念そのものも変えたんです」

「それまでは物理法則とは、何が起こるかについて述べる規則だった。しかし、ニュートンの諸法則はいかなる系も従う規則だった。以前には考えられなかった説明のスタイルだった。同じような説明の革命が、ダーウィンによってなされた」

「それまでは、この動物はどうしてこの姿形をしているのかと聞かれたら、姿形の何らかの特性を上げるものだと思われていた。しかしダーウィンは、その答えは姿形の特性にかんすることではなく、進化によって、どのようにその姿形が生まれたかということになった」

(※私がメモした内容なので、正確な記述は同書を参照されたし)

ここを読んでいて、ああドイッチュって「説明」だなと思ったことも印象的。彼の考えの個性を1つのキーワードで示すならそれだと思ったのだ。

 

しかもなんと、『量子力学イデオロギー』で佐藤文隆先生がニュートンについてまったく同じことを指摘していることに、昨日気がついたのだった!

コペルニクスからニュートンの間に何があったのか?》《「宇宙が法則をつくる」から「宇宙は法則によってつくられる」へと変化していった》

 

ドイッチュと佐藤の一致は実に興味深いが、1つの法則が起点という立場は、さらに次の世界観をもたらす。

《法則がまずあって具体的なものを全て支配はするが、具体的存在は法則そのものにとってはどうでもよい偶然的なものなのである》《法則の普遍性は物質に宿るが、物質がその根拠なのではない》

このことが実は私には不気味なボディーブローとして効いている。

「宇宙がなぜあるんだ?」「私がなぜいるんだ?」そんなことを数年も思案してきたけれど、ここに示された視点の転換は、その思案を解消するかもしれない。少なくとも無効にするかもしれない。明日も休みなので明日にも起こりうる。

 

https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2019/07/27/000000に続く