ちょうど今こんな対談をやっているではないか(3月6日)
https://www.youtube.com/watch?v=2ADDqH9xpc4
(哲学の決定論 vs. 物理学の決定論:機械は自由意志を持てるか?)
セーラー服おじさんは、服装が限りなく面白いが、なんと話がそれを超えて面白い。(無限の濃度のランクが上)
「エントロピー最大化原理は目的論として有効ではないか」(松田卓也神戸大名誉教授・主旨) ニュートンとダーウィンによって目的論は二度葬られたという見方に対抗して。「マクロからミクロへ」「機械学習でも似た方法が使われる」などなど。
2時間ではあまりにも短い。ゲンロンカフェのように疲れて倒れるまで終わらないのを希望。「ペンのインクが尽きるまで」(デリダ)
谷村さんは、自由意志という問いにじつに整然と思考し明瞭に回答しているから、刮目せざるをえないが、じゃあ谷村さんは毎日研究室で物理学をやらずに哲学をやっているのかというと、そんなわけはないはずだから、よけい驚く。
物理学は哲学の問いを必然的に運んでくるのかというと、私はそう思っていた頃もあったが、おそらく谷村さんが毎日格闘している物理学の問いは、自由意志とは何かといった哲学の問いをはるかに超えて難問なのだろう。物理学の詳細はまったく語られない今回の対談で、かえってそう思わされた。
そしてもう1つ特に意外だったのは、物理学には原因と結果という見方がなじまないという話。潮の満ち干の原因を1つに決められないという例が不思議だった。ただ、単純な力学では現在から過去も未来も決定されるという点は揺るがないようで、そのギャップこそがむしろ現実の物理学なのかもしれない。
さてさっきの、物理学者たる谷村さんにとって哲学とは何かという関心に戻るが、谷村さんは最近、「2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現」という内閣府の(マジかよという雰囲気の)プロジェクトに参加するようになったという。
そして「科学者としてのハートを鷲掴みにされた」と述べている。
相当勝手な感想を言うとーー
量子力学を人間はもういくら深堀りしようが、人間の身の丈に合った成果など、もう出てこないのではないか。量子力学はすでに途方もなく謎でありすぎて、なにか大変なことが解明されても人間の思考のサイズでは決定的で感動的な理解にはつながらないのではないか。
ただもう1つ勝手な感想を言うとーー
ひょっとして「自然科学の領域において、自ら思考・行動し、自動的に科学的原理・解法の発見を目指すAIロボットシステムを開発する」といった実際的作業の中でこそ、自由意志の謎も量子力学の謎も「なんだそうだったか」と意表をついた解決が期待されるとか?
ところで谷村省吾さんという方がおられることは、1年あまり前にウェブ上で知った(以下)
https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2019/12/05/000000