東京永久観光

【2019 輪廻転生】

猫が見る窓の外

夏の宿題がまだ片付かないのに、もう12月だ からの続き

 

ところで最近 猫がうちに来た。

外に出たことのない猫なので、仕切られた室内だけが世界のすべてだろう。ある日突然もとの家から私の家に連れて来られたことを、どう受けとめているのか? この床や壁は人間が作ったものだとは思わないだろう。窓越しに見える空や建物は何だと思うのだろう。

この世界が映画『マトリックス』的仮想現実かもしれないと、ときどき言われるのは、これに似ている。しかし多くの論者は「まあそうかもしれないけどさ」とその可能性にはのらない。宇宙全体や自分が他の生命体やAIや神のような何ものかによって培養されているといった想定はどうしても信じがたい。

でも、信じがたいのはなぜだろう? 私が思うに、人間の場合は、この宇宙や人間がいかなるものなのか、大昔は猫なみにさっぱりわからなかったものの、その後少しずつ説明や理解をかなり改良させてきた、という自信があるからではないか。私はそう思う。言い換えれば科学への信頼だろう。

もちろん、ビッグバンの「前」や「外」はどうだったのかとか、あるいはまさに「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか」は、人間の思考の範囲では、いつまでたっても歯が立たない可能性は大きい。そこは、家の猫が、窓の外にはいったい何があるのかをどうしても理解できないのと、同じだろう。

 

そうこうしているうちに…  に続く