東京永久観光

【2019 輪廻転生】

暮れに追いつかない

今年は仕事がやけに忙しかった。そのせいで心の中はずっと内田百閒の苦虫かみつぶし的な形相だった。表面はついニコニコしてしまうので、あいかわらずそういう人だと思われている気はするものの。

https://twitter.com/Hyakken_Uchida

 

毎年毎年、暮れに追いつかない。

暮れだけでなく、年中、何かを追いかけている気がする。

 

『いだてん』も12月に入ってからオンデマンドで見始めて、一気に見て(第4回〜第8回は見られないが)、やっと最終回に追いついた。

みんなこれを1年かけて見たのか〜(いだてん) 今年の夏は、あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」とかがあり、いろいろ考え込んでしまったわけだが、同じころ人々は『いだてん』のロス五輪の回とかベルリン五輪の回とかも見ていたのかと思うと、なかなか感慨深い。

 

何を追いかけているのか、よくわからないわけだが、ひとつは、日々すぎていく自分の行いと思いとを、後から少しでもと自分の言葉が追いかけるのかもしれない。ツイートとかたぶんそれなんだろう。だれでも行いや思いはけっこう多いから、どんどん差がつき1周遅れ、2周遅れ。1年遅れ、2年遅れ。

では、追いかけてずっと走らされている気分のなかで、ゴールはあるや? 唐突に大げさな答えを言うと、社会にはゴールがある(平和とは繁栄とか)としても、人間にはゴールなんかないんだと、薄々観念してきたのが、ここ3〜4年のような気がする。それすなわち「神はいません」の言い換えだね。

また年が暮れる、また年が始まる、という不定愁訴の底の底には、そうした無情や空虚があるのだと、思わざるをえない、けれども、べつにそう思いたいわけではないので、思わないことにする!

 

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超新星爆発、目撃したいと思うけれども、それはそれとして、べテルギウス、誕生から900万年しか経ってないと書いてある。そんなに新しい星だったとは! 二足歩行の人類と同じくらいではないか。ついこのあいだ。

超新星爆発、目撃したいと思うけれども、それはそれとして、ペテルギウス、誕生から900万年しか経ってないと書いてある。そんなに新しい星だったとは! 二足歩行の人類と同じくらいではないか。ついこのあいだ。

https://twitter.com/cnn_co_jp/status/1210444590228094977

宇宙において、星は、単純な少数の法則によって誕生が説明できるのだと思う。だからなんの不思議もない。では人類やサピエンスはどうか? ものすごく複雑でものすごく多数の法則によるけれども、やっぱり誕生は説明できるのだと思う。同じくなんの不思議もないということになる(信じがたいが)

星の誕生を説明する原理は、主に物理なのだろう。人類の誕生を説明する原理は、やっぱり進化ということになるのだろう。

さて、人類の誕生は複雑だとしても、そのベースになった太陽や地球の誕生は単純であり、それについても私は今ではたいして神秘を感じない。一方、星の誕生は単純だとしても、そのベースになった宇宙の誕生は、単純か複雑か私には理解できない。宇宙があること自体が神秘というしかない。なぜある?

 

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