人間の誕生は宇宙の必然か?(続) から続く
「夏の宿題2021」と称して『生物の中の悪魔』(ポール・デイヴィス)という本を読んできた。すっかり秋だが、感想を提出しないわけにはいかない。
人間の出現は宇宙の必然か?ーーそんな問いがこの本には潜んでいる。たしかに人間は神が創造したわけではない。しかしだからといって、私たちがまったく偶然にできた余計ものだなんて、そんなことはありえない。著者にはそうした確信が強いことが読み取れる。
では宇宙はいかにして必然的に人間を誕生させたのか。理論物理学者の著者は、現在の物理法則では説明できないと強調する(つまり今の科学では人間の出現が偶然に見えるのは仕方ない)。しかし宇宙にはまったく未知の物理法則が潜んでおり、それによって生命は必然的に出現する、と著者は考える。
では、まったく未知の物理法則って何? もちろん今は影も形もない。しかし探るべき方向はある。「情報」そして「マクロ世界」だ。いやそう言われてもなお首をかしげたくなろう。しかし実に生命は「情報」や「マクロ」の観点でこそ、その奇跡の本質と解明の糸口を見せてくる。まさに同書の功績。