東京永久観光

【2019 輪廻転生】

落合陽一

「指数関数的成長にとって、すべての点は、いつでも始まったばかりだ」と、落合陽一がさっき言っていたんだけど、近代においては人生自体が凡人でもわりとそうで、どれほど貯めこんだり抱え込んだりしたとしても、長くても1年か2年もすれば、ほぼ無視してよくなることのほうが多い(かも)

https://www.youtube.com/watch?v=h7xQqFEHO5Y(参照 35:03)

言い換えれば、近代というありがたくも忙しくてめんどくさい時代には、人の精神というのは、若いときか年をとってかは人それぞれだが、いつかいったんなんらかの加速度を得たならば、あとはそのまま加速し続ける、というイメージ。(そうならなかったならば、ずっと等速度のままかもしれないが)

なお、落合陽一はテクノロジーをめぐって言ったのであり、私は精神について言ったのであり、じゃあ「お金もまた加速度を保って増え続けるの?」というと、ふつうそんなことはなく、夢をみるなら仮想通貨くらいしかなさそう(それも怪しいわけだが)


 *


(2月1日)

近ごろ、落合陽一のスピーチをネットの動画でわりと見ているが、そのインパクトとショックはホリエモン登場のときに匹敵する。「近代によってチューニングされた人間の心と体は、ITによってあっけなく改変されるはず」といった主旨の思想が超高速で語られ、極端に面白いというしかない。

https://www.youtube.com/watch?v=0_CTMYPVrJ8&app=desktop&

もう1つ、「人間は、個人がせっかく蓄積した経験や知識を遺伝子としては残せないため、皆んながいちいち同じことを繰り返すしかない宿命だったが、人工知能などによってそれが覆る可能性がある」(主旨)という、これまた最大級に興味深い点を突いてくる。いびつに面白い。

ところで(話がそれるが)。哲学もまた、同じく長い間にチューニングされてきた人間の考えのほうを改変しようという試みではないか。この比喩でいけば、人間の思考は言語によって誤ったチューニングをされているので、それを解除しようというのが、ウィトゲンシュタインの哲学だったと言えそうだ。

しかしながら、哲学者の場合、NewsPicksのスタジオに呼ばれたり、企業から共同研究を持ちかけられたり、ネットでバズったりは、あまりしていない。なぜか。それはたぶん、落合陽一のラジカルな発想と違い、ウィトゲンシュタインのラジカルな発想からは、実用性・実業性が感じ取れないからだろう。

しかし本当はウィトゲンシュタインの哲学はとても実用的だ。ネットの炎上を目にしようが、国会の口喧嘩を耳にしようが、言葉と心をウィトゲンシュタイン風にチューニングすれば、巻き込まれて無駄な思考をしたり余計なツイートをしなくてすむ可能性がある。ストレスを管理でき時間を節約できる。

こうしたライフハックを、商材とかメルマガにしたり、アフェリエイトにからませれば、ビジネスチャンス!

話は元にもどりつつ、また横にそれるが、人間の心や体の現在のチューニングがけっして自明ではないことを、たとえばこうした実験(下)は、ふと感じさせる。

https://www.youtube.com/watch?v=Y4Dy7vhzrqE
予告篇:からだは戦場だよ2018(小鷹研究室)