東京永久観光

【2019 輪廻転生】

円高に効く薬


円高の正体/安達誠司 
 円高の正体 (光文社新書)


円高の理由はきわめて単純。日本がデフレであることや円の供給量が足りないことに尽きる。

……こういうことは何度も聞いているわけだが、この本を読んで、もう迷うのはよそうと思った。円は本当に簡単なカラクリで上がったり下がったりする。これはもう血圧と同じくらい単純なようだ。

(血圧は、血液の量と血管の太さによって決まる。血液の量が多くなったり血管が狭くなったりすれば高血圧になる。その対策は、血液の量を減らし血管をむやみに収縮させないこと。それには降圧薬をのむのが一番。塩分の摂りすぎや太りすぎを改めることも役に立つ。なぜなら、塩分が増えれば体液すなわち血液の量が増えるし、肥満になれば交感神経やホルモンの変調で血管収縮につながるという)

さてでは、円を下げるには? インフレが起こるという空気を十分に作り出し、円の供給量を確実に増やすこと。これまたほとんどそれに尽きる。

そうした円高治療をするのが日銀だ。それなのに日銀はまさにそれをしていない! むしろインフレにびくびく、円を増やしてもちびちび。

血圧が高いので塩を減らし体重も落とし、それでも下がらないから「薬をください」。ずっとそう訴えている患者に、なんだかんだと言いわけしつつ、いつまでも薬を処方しないヤブ医者!


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◎非常に参考になる対談(著者×飯田泰之
 → http://blogos.com/article/32892/円高が好きな人たちの「正体」とは?)


◎このあいだの日銀のアレが「インフレ目標策だなんて笑わせるな」という国会論争。
 → http://www.nicovideo.jp/watch/sm1711065202.29衆議院予算委員会山本幸三議員(自民)安住、フルボッコw)=ニコニコ動画なので要登録=


◎ではなぜ日銀と政府はそうしないのか という考察
 → http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2012/01/post-bd6f.html極東ブログ