経済政策は健康対策に似ているとますます思えてきた。「この薬をのめ」「この食事にしろ」「この運動がいい」 いろいろ言われて闇雲にやってみるが、全体の仕組みはさっぱり理解していない。
とりわけ経済対策はエビデンスに乏しく専門家の意見も大きく分かれているように見える。日銀の追加緩和も賛否が別れたというし。
じっさい健康対策には科学的な標準がある程度ある。とはいえ自分の信念にしか従わない人もかなり多い。がんの治療などもそうだろう。
このあいだ「喫煙はがんと関係ないよ」「血圧の薬なんて180mmHgくらいでのめばいい」と目の前で言われた。古いつきあいの先輩で仕事はできるし教養もある人だ。
では日銀総裁が言うことはどうなのだ? 本当に正しいのか? だまって信じることが大事なのか?
なにも信じない人生は悲惨だが、なにも知らない人生も悲惨だと、私は数十年の人生において、後悔・自戒として思うようになった。そして、健康対策はさておき、きょうの新聞に載っているような経済対策について、私は、信じるもなにも まったく知っていないという実感が強い。――そのような述懐。