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【2019 輪廻転生】

つぶやけ!船中八策

生きていくための情報管理を、遺伝子だけでなく「脳にも担ってもらうようになった」ことと、脳だけでなく「パソコンにも担ってもらうようになったこと」は、ひじょうに似ているのではないだろうか!

NHK大河ドラマ龍馬伝』で、龍馬は船中八策を筆で書いていたけど、「あれコピーとっとかなくて大丈夫か?」と思ってしまった。龍馬が現代にいたら、大勢に配るのに、メールやツイッターを使っただろうか? そのエントリーは「はてなブックマーク」で人気が出ただろうか?

(話は飛ぶようで飛ばないのだが) 放送大学というのはほんとに侮れなくて、いやもともと侮ってなどいないが、このあいだぼんやり見ていたら、記憶の再認や再生はどんなふうにやってるのかのモデル理論を説明していた。寺澤孝文という人による認知心理学

たとえば、母とのある出来事を思い出すとき、頭の中ではどんなことが起こっているのか。モデル理論は大きく2つあり、1つは、固定された記憶がそのつど引っ張り出されるという理論。もう1つは、思い出すたびに新しい記憶が作られるという理論。

記憶が毎回新しく作られるという理論というのは、つまり、たとえば母親を思い出すときは、それまでに母親に関して過去に記憶した複数の記憶を重ね合わせるようにして「母親」の記憶が再生されているのだということ。

それをシミュレーション的に実験し証明していたのだが、非常にエレガントだった!

心理学は歴史が長いので、こうした認知の仕組みを説明する手練手管というのは、脳科学をはるかに上回っている気がする。

というか、ふと思ったが、学問というのは、過去から蓄積された理論をすべて重ね合わせて、最新の理論を生成するもののようなので、そういう意味では、いわば「記憶の再認・再生」みたいな営為なのだろう!

結論としては、今どき下手に大学なんか行かなくても(いやむしろ行かないほうが?)、勉強だけならテレビ、本、ネットなどのメディアを使って独りでも相当深く探究できるのはないか、ということ。

放送大学の該当ページ http://www.ouj.ac.jp/hp/kamoku/H22/kyouyou/B/sinri/s_1520709.html

考えてみると、頭のなかの記憶は流動的であり、かつまた、外部の記録のほうは固定的なので、その両方をうまく使ってこそ、われわれの生活も、われわれの知能も、成り立っているように思う。

ただ、人間は、記録よりも記憶に頼る度合いが、きわめて大きかったと思われる。昔はネットとワープロは無いし、もっと昔なら、メモするノートやボールペンもこんなに便利に使われてはいなかった。

坂本龍馬はいろいろな人から教わった要訣を、おそらく頭のなかに記憶し、頭のなかで整理して、それを「船中八策」として、筆で巻紙に書いた。