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【2019 輪廻転生】

リバースエンジニアリングとして(人工知能)

 http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20180607/p1 から続く


人工知能研究とは、人間の知能の「リバースエンジニアリング」なんだな、というのが、『人工知能とは』を読んで思ったポイントの1つ。たとえば車を作るのがエンジニアリングなら、すでに完成された自動車を調べてどうやって作るのかを探るのがリバースエンジニアリング

そう考えると、生物進化の研究というのは、すでに存在する(または存在した)生物のリバースエンジニアリングか。宇宙物理学や理論物理学なんてのも宇宙や物質のリバースエンジニアリングか。(ちなみに言語の研究だと、理科系の一部にしかリバースエンジニアリングの動機はないようにみえる)

それで、人間の知能のリバースエンジニアリングにも方法は2つあるようで、知能を「知る」ことに重点を置くのが認知科学なら、知能を「作る」ことに重点を置くのが人工知能研究だ、といったことを、中島秀之さんが同書で書いている。これまた なるほど〜と腑に落ちる。

で、松尾豊さんなどは人工知能は作ることこそが大事だと考える。作ったものが本当の意味での人工知能かどうかなんて「できたらわかります」と言う。《人間に近いレベルの知能、もしくは人間を超える知能ができれば、それは人間にはわかると思います》。

ということで、リバースエンジニアリングが、一周回って、エンジニアリングに戻ってきました、みたいな話になった。ところで私は、人間の知能や意識や言語については、作るよりもその仕組がなにしろ知りたい。音楽とか映画とかは、仕組みを知りたいのと同じ程度に、作れるものなら作ってみたい。


 人工知能とは (監修:人工知能学会)