★新幹線大爆破(1975)
健さん追悼コーナーでずっと貸出中だったDVDがやっと借りられた。面白かった。だいぶ前に見た記憶どおりだ。「みんなのシネマレビュー」=以下=で黄色いハンカチに次ぐ高得点なのも、うなずける
◎ http://www.jtnews.jp/cgi-bin/ps_1514.html
あれほど大掛かりな犯罪に至らねばならぬ動機が今いち不明だし、ストーリー展開にいろいろ難はあるが、それでも面白かった。不遇な人生、寡黙、仲間からの厚い信頼、義侠心といった人物像に高倉健はとにかくぴったりなのだ。
計画が成功したらどうしたいと高倉健から問われた山本圭が「革命がうまく行った国へ行ってみたい」と答えるのが、最初見たときから印象的だった。1975年はまだそんな時代だったのか。高倉健のほうは「ブラジルにでも行ってみるか」とわりと真面目に答えていて拍子抜けする。
それから、先ほどのレビューサイトに「新幹線に爆弾を実際には仕掛けなくても脅迫は成立したのでは」という指摘があり、なるほどと思った。明らかに失敗作だと思えた『野性の証明』と同じ佐藤純彌が監督しているが、『新幹線大爆破』はそこまでの破綻がないので最後まで白けることはない。
★動乱/森谷司郎(1980)
一緒に借りてきた。こちらは通俗きわまりなしと言わざるをえない。もちろん戦争期の日本と東アジアの歴史を描くための映画ではないのだろうが、それでも安易と言わざるを得ない。けれども、高倉健と吉永小百合の魅力に没頭できるからそれでよいのだろう。
吉永小百合は35歳の年。『キューポラの街』『伊豆の踊子』の頃に比べ女優として明らかに変貌したように見える。1983年『細雪』以上に良いと思った。ところでWikipediaによれば、吉永小百合は1961年には16本もの日活映画に出演している。モーレツ社員だ!
ところで『動乱』の吉永は、東北の寒村で飢えをしのぐため身売りさせられ、朝鮮半島の戦地に送られている。これがいわゆる従軍慰安婦か。事実に則した描写かどうかは知らないが、この映画はその点も興味深い。
2人のラストシーンや米倉斉加年演じる憲兵とのドラマもあまりにも通俗的だから泣ける。「通俗万歳!」「天皇陛下万歳!」
◎ https://www.youtube.com/watch?v=S53czg8sd4g
ちなみに『幸福の黄色いハンカチ』は、私は文句をつけたいところがまったくなく、気に入らない人は何に気に入らないのか、むしろわからない。このダウンタウンのコント=以下=だけはおかしくてうなずけるが。