リモコンを押してもテレビがつかないとき、強く押してみるとなぜかつく。何故だ？ 乾電池や電波はそんなに曖昧なのか？ 気のせいか？ 「気」のせいか？
ひょっとして、「強さ」の量は、すべて距離か時間の量に置き換えられるのだろうか。そうなのかもしれない。
昔シンセサイザーを使っていて、鍵盤を強く押すと大きな音が出たが実は、タッチの「強さ」というのは、実際にはタッチの「速さ」をセンサーが感知しているのだった。だからゆっくり強くしていっても大きな音にはならない。
そもそも、量に換算されない質のみの「強さ」という物理概念はあるのだろうか？ この話は、精神の質といったって、たとえば、強いとか弱いとか、つらいとかうれしいとか、ズボラとかまめとかいったって、すべてなんらかの物質の動きの距離や時間の量に換算できるのかも、という話につながってくる。
といってもクオリアというのは、そうした物理量への換算で説明しきれないところが、いつまでも謎であり面白いのだろう。温度が分子の運動量で換算できても、寒いとか冷たいといったクオリアが説明されたというふうには思えない。痛みなども物理的な分析だけをいくら説明されても困るだろう。
