東京永久観光

【2019 輪廻転生】

ニュースの白黒


小沢一郎民主党幹事長)の金をめぐる疑惑で、なんと私設秘書だった衆院議員までが逮捕されてしまった。政治資金規正法違反。ダム建設にからむ賄賂をゼネコンの鹿島から小沢氏が受け取っていたのでは? という話にまでなっている。

……とわかったように書いたが、では法的に何が黒なのか、すぐに把握するのは難しい。それ以上に困るのは、道義的に何が黒なのか、納得できないこと。つまり「せんせい、小沢さんは悪い人なんですか? どう悪いんですか?」の気持ちのもやもや。

こうした分野の情報にふだん耳を傾けていないせいだろう。ニュースをたかだか30秒ほど耳にしたり目にしたりするだけでは、なにも理解していないに等しいのだと思い知る。

情報は刻々と流れてきて、そして刻々と流れていく。ツイッターはもとよりブログのエントリーもマスコミのニュースサイトもそうなって久しい。そうなると私たちは何に注目すべきなのか、どう注目すべきなのか、昔に比べてはるかにわからなくなった。そもそも今みんなが何に注目しているのか、それ自体いっこうに見えてこない。

先日、NHKのクローズアップ現代「変わる巨大メディア・新聞」を見た。アメリカでは新聞社がばたばたと倒産していること、日本でも毎日新聞が地方の記事は地方紙に任せる取材体制に変えようとしていることなどを報じていた。驚きだった。

実際、1日1回朝刊を開き見出しを見て、何がどれくらい重大なのか、そこそこ実感できて、そこそこ間違えなかった昔とは、もはや本当に様変わりしている。

新聞はめくっていくうちに政治面、経済面、文化面、スポーツ面、社会面とひととおり目に入る。今われわれはインターネットでその10倍か100倍くらいの量を常時読んでいるのだろうが、それぞれ好き勝手にクリックしているだけなので、「これでいいのか」は誰もわからない。たしかに新聞の報道には限度があるわけだが、だからといって、私の長時間のインターネットライフがそれ以上に狭く偏ったものでない保証はまったくない。

どのようなテーマでも、テレビや新聞の水準を超えて深く鋭くまとめているサイトはそれぞれ間違いなくあると思う。でも今度は、どのブログがそれなのかを、自分ひとりでは探すのも決めるのも難しい。(大新聞はせいぜい5つくらいから選べばよかった)

「今どき何を言ってるんだ、Googleニュースはてなブックマークに任せてしまえばいいのさ」 ……とまで思い切ることはなかなかできずにいる。しかしそれ以上の解決策は実はないのかもしれないのだ。