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【2019 輪廻転生】

★『存在消滅 死の恐怖をめぐる哲学エッセイ』

「そう遠くない時期に必ず死んでしまう」ことが、何故みんなほとんど気にならないのか、私としては本当は不思議でならない。しかしごくまれには、この事実と困惑に真正面からぶつかっていくような本に出会う。


『存在消滅 死の恐怖をめぐる哲学エッセイ』(高村友也)

http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3696

 

さらに、死が避け難い・耐え難いというこの思いは、そもそも宇宙が在ること自体の不思議さと一体だと述べる。私も内心そう思ってきたので大きく頷かされる。とはいえ著者は、存在の謎は解明の可能性が皆無であるから問いにすらならない、という立場でもあるようで、そこはまた興味深い。

 

[9月27日]

読み終えて付箋したところをメモしている。どこをたどっても、究極の正解と言うしかないシンプルな文言が、理路整然と積み上がっていく。驚くばかり。うなずくばかり。以下もその1つ。

《自分の人生の内容については、諦めがついている》《執着しつつ、諦めがついている》

《 問題は、その執着と諦観の二元性を、死の問題に適用できるか否かである》《人生が終わることそのものを諦めることができるだろうか。私にはできない。死ぬことだけはどのような意味においても諦めがつかない。生に対する執着しかない》

しかしながら《諦めがつかないからと言って、奮闘することもできないのが、死の問題の歯がゆいところである》(p.113~115)