東京永久観光

【2019 輪廻転生】

これはイデオロギーの戦争なのか?


近ごろ世界史に興味がわき、その流れもあって、『もういちど読む 山川 世界現代史』なんてのを読んだのだが、やっぱり面白い。おおよそ知っているべき19・20世紀なのに、カンどころが全然わかっていなかった、というか端的に知らなかった、ということに あきれるばかりだ。

「なるほど〜」と深くうなずいた1つを言うと――

第二次大戦が実は「イデオロギー戦争の性格を帯びていた」ということ。敵に対する不寛容、憎悪、残虐行為がこれほどすごかったのは、そこに起因するとみるのだ。それは第一次大戦も含めた多くの帝国主義的な戦争とは性格を異にする。なるほど。

そのときいっそう興味深いのは、第二次大戦がイデオロギー戦争であることを、「ちょうど16〜17世紀の宗教戦争のように」となぞらえていること。かの宗教戦争なんていつの話だという感じだが、それが初めてちょっと他人事ではないものに思えてきたのだった。

さて、それで今日なにが言いたいかというと、現在の欧州や中東で引きも切らない爆弾戦争は、宗教戦争のごとく、第二次大戦のごとく、イデオロギーの対立なのか? ということだ。どうなんだろう。イスラム教×キリスト教という図式で捉えればまさにそうだろうが、ホントは何の対立なのだ?


 もういちど読む山川世界現代史


 *


ところで、バクダディはロレックスの時計をしていたらしい。
https://twitter.com/wolvesknow/status/671994827207118850


 *


<追記 6.24>

また『山川 世界現代史』だが、第一次大戦後のドイツでワイマール共和国が崩れていくプロセスでは、経済的に不遇となったかつての中間層が、労働者・大衆に対しても、伝統的な支配層に対しても、敵意をむきだしにした、という主旨のことが書かれている。それは従来とは異なる独自の運動だった。

これを昨今の日本で類比してみれば、やはり日本維新の会がその位置にあると思われる。都民ファーストの会もそうかもしれない。とはいえ、この2つの政党がファシズムに通じるとただちに言いたいわけではない。そもそもファシズムは、大量の情緒的な支持者こそが むしろ生み出すものだろう。

そういう点では、ついこのあいだ民主党の隆盛に熱狂した日本国民(私もその1人だった)が、案外ぴったり当てはまる気もする。

しかしながら、ナチ党の段階になると、もう1つ見逃せない特徴が示される。伝統的な支配層(大資本家やユンカー)こそが、ナチ党から利益を引き出したというのだ。

《彼らがナチ党に期待したのは、第一に社会民主党共産党労働組合の影響を取り除くこと。第二に、ベルサイユ条約の漆黒を打ち破り、再軍備と膨張政策を推進して、第一次大戦前の「ドイツ帝国」の領土と栄光を取り戻すことだった》

こっちを昨今の日本に置き換えれば、やっぱり日本会議などが該当するのかもしれない。ただ国民がこぞって支持しているようにはまったくみえない。

それと、ここで海外に目を転じると、フランスでマクロン新党の人気が急騰していることなんかは、かえって、ちょっとどうなんだろうと感じる。これは本当にポピュリズムを抑制するのか? むしろポピュリズムを促進するということはないのか?

旧民主党政権、トランプ勝利、マクロン新党、都民ファーストの会… 私は懐疑派だ。