東京永久観光

【2019 輪廻転生】

ゲンロンカフェ 石田英敬 × 東浩紀 一般文字学は可能か──記号論と脳科学の新しい展開をめぐって


 http://live.nicovideo.jp/watch/lv288824571


ショーヴェ洞窟では壁画を炎と音でいわば上映していたのだという話から、1895年映画誕生の話へと、3万年を隔てた視点が据えられ、これは文明としてのメディアが手製から機械製へ大きく転換した瞬間なのです、と捉え直す!(石田英敬さん)

トランプ誕生のショックで「もうどうせこの1年は惰性運転だね」と、この世を見限っていた私たちに、そんなものを一気に吹き飛ばす圧倒的な知的衝撃!!

その衝撃はしかし連鎖をやめない。世界で人々が個々に使ってきた文字が、トポロジカルな形としては実はどれも同じ、という話になり、それどころか、その複数の形が使われる頻度は、人類が何万年と眺めてきた風景のトポリジカルな複数の形の頻度と、なぜか一致するという!(トランプさん、どうよ)

文字と風景の頻度の類似は、下條信輔さんらの研究だとか(?) 寝床で眠りながら聞いているのでやや不明。それにしても、途切れ途切れに聞こえてくる対談の内容に、その都度びっくりして目が覚める。

この研究では、たぶんビッグデータを使った統計の発想を駆使しているのだろう。人類が見てきたはずの風景というのも、グーグル検索かなにかで推測しているようだ。それを、まさに人文系の考察者である石田さんが重視する。

石田さんのテーマ「記号やメディア」の射程の独特さが、そこに現れるということになる。20世紀初頭あたりに、映画誕生に象徴される記号的メディア的状況の大転換が起こり、人々の世界認識も実は転換した。それまでの近代的な知の蓄積や方法が当てはまらなくなったのだ、と言うのだ。

フロイトとかソシュールとかフッサールとかの探究は、それまでの学問体系とは、なんだかそぐわないんだけど、それはそうした変換を照射しようとしたからだ、といった主旨の指摘も、非常に面白く感じた。

2017年アテンションの戦いで、ゲンロンがトランプに勝った夜だね。