東京永久観光

【2019 輪廻転生】

シャルリ・エブド襲撃をめぐって (5)


きょうは朝からこんなニュースが伝わってきたけど……

イスラム国、男性をビルの屋上から突き落とす画像を公開 同性愛が理由か」(http://www.huffingtonpost.jp/2015/01/18/islamic-state-throws-man-or-being-gay_n_6494970.html

先進国の人々が信奉する近代的西洋的リベラリズムの思想から、イスラム国はやはり最も遠いものなのか。これをみれば間違いなくそうだろう。

ただ、イスラム思想が本来そうだったわけではないことを、思い出しても損はしない。たとえば――

《政治イデオロギーとしてのイスラムは、歴史上の重大な時期に緊張下にあった社会での融和実現に大成功をおさめた、一群の思想と価値観で構成されている。イスラム社会は何世紀にもわたって文化、コスモポリタニズム、軍事力で世界の最先端だった。バーナード・ルイスが言うように、イスラムは「多民族的、多人種的、国際的、そして大陸をまたぐとすら言える世界文明を創りあげた」。キリスト教徒によるレコンキスタ以前の南スペインや、もっとコスモポリタンオスマン帝国の一部地域のようなイスラム中心地は、その後のどんな文化でもめったに見られないほどの寛容さ、そして――そう、リベラリズムの規範だった》

寛容やリベラリズムは(少なくともかつての)イスラム世界にこそ存在した!

これは昨年から読み続けてきた『殺人ザルはいかにして経済に目覚めたか?』の終盤に出てくる一節(P・シーブライト著、山形浩生・森本正史訳)。じつはイスラム思想の現在の問題点を指摘する前提として書かれた箇所だが、シャリル・エブド襲撃をめぐって、こうした前提も忘れないほうがいいと思ったので引用しておく。


なお同書は、「協力」や「交換」という人間ならではの習性が社会の決定的な基盤を成してきた事実と、それが人類の進化史としてどのように登場したのかを、幅広い視点と資料をもとに格調高く述べていく一冊。
(本の内容:http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20141201/p1


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その後、イスラム国の日本人人質殺害警告という事件が起こる

http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20150120/p1