東京永久観光

【2019 輪廻転生】

★三浦瑠麗×津田大介×東浩紀「2017年、世界はどこへ向かうのか——『「トランプ時代」の新世界秩序』


http://live.nicovideo.jp/watch/lv287340344

 =生視聴=


リバタリアニズムコミュニタリアニズムだけが強くなりリベラリズムが弱くなった時代だが、やっぱりリベラリズムを基本にそれを補う方法しか世界をよくする道はないだろう、エリート主義的でいやだけど、という主旨のことを東浩紀さんは言っている。

リバタリアニズムグローバリズムコミュニタリアニズムナショナリズムリベラリズムインターナショナリズム、と置き換えできるという前提のよう。

東「リベラルの本当の意味が問われている」 しかし、三浦「アメリカのリベラルに出せるものはもうない」!

リベラリズムが欺瞞ではあっても希望はそこにしかないのでは、という東さんに、「いや〜」と首をかしげる三浦瑠麗さんは、「彼らはけっきょく giverになれない」と断じる。(彼らとは、リベラリズムインターナショナリズムの人、EU、ヒラリー、ハーバーマスロールズなどを指すと思われる)

三浦「現在のモダンな国家は、実はシチズンシップに対するリスペクトも(それへの)見返りもない」。同じ市民なのに大企業社員なら楽勝で中小企業社員はそうでない、国が市民の面倒を投げ捨てているから、という根本批判。だがトランプはそれを改善するかもしれない…と。


イヴァンカがモデルをしたことをこぞって非難するのに、男の政治家がアメフトみたいなものに打ち込んだことに対してはなぜか馬鹿だと言う人はいない、と三浦さんが言うと、「いや、おれは言ってますよ、けっこう」と東さんがすかさず! この対談で一番笑ったところ。

この好き勝手な鼎談が1時間半もすぎ、ようやく3人が初めて真正面から対峙したのが、なんとこのミソジニーの話だった。ゲンロンカフェはしばしば展開が予定外の方向に進む。しかしそのときこそ話者の本心が見え隠れする。


 =ようやく最後まで視聴した(2月5日)=


全体として冷静に振り返れば、三浦さんの見解が、トランプ政権の評価を、ネガティブからポジティブへと、大きく転換させる一夜だった。

こうした衝撃は私には第二波。第一波は大統領選直後の渡瀬裕哉さんの分析だった。


三浦さんの話はしかし、いつも東さんの少しずれたツッコミによって寸止めになり、結論を聞けずじまいのことが多かった。これは残念。東さんのツッコミは、相手が対談ゲストであれ会場の客であれ質問者であれ猛烈で、色んな意味で切れまくる。そして自身の思索だけは早口で結論まで言い切る。

とはいえ、東さんの早口内容は、先に少し引用したとおり政治思想の原理を独自に明瞭に照らし出すものであり、私には三浦さんの見解に並んで貴重だった。いや、三浦さんの見解や同種の見解はこれからテレビなどで耳にすることになるだろうが、東さんの見解は今のところゲンロンでしか聞けない類。

そしてまた、対談相手の顔色を気にしつつ(三浦さんは飽きてくると菩薩になる)、聴衆の盛り上がりも気にしつつ、ワインにも酔っ払いつつ、進行と発言の両方を完璧にこなそうとする、東さんの中小企業社長魂がしのばれる。

むしろ、ホームグラウンド(家)の安楽環境で自由自在に再生視聴できる私のほうが、対談の流れや発言の中身を落ち着いて吟味できる。それどころか、生放送中なら自ら発言(コメント)すらできる。従来の講演会やシンポジウムではありえなかったこと。ニコ生時代に主導権は聴衆が握るのか。


ところで、三浦さんの話をこのまま聞き続けると、トランプ政権だけでなく安倍政権の評価もまた、ネガティブからポジティブへと正反対に切り替わる可能性が大いにある。高村正彦氏にインタビューした次の新書がそれに寄与するようだ。

三浦さんが、単に無敵であるだけでなく、真に賢明であるのであれば、日本の現政権に対する「×ではなく○です」「なかなかよくやっています」という判断に、日本の現国民である私は、喜んでいいはずだが、なんだか複雑な気持ちになるのは、風前の灯火である私の左翼魂がそうさせるのか?


 *


 =東浩紀さん、その後のツイート(2月19日)=

上野千鶴子さんの移民に関する発言をめぐって)

https://twitter.com/hazuma/status/833175786299412481
《これは要は、共産主義なき左翼はナショナリストにならざえるをえないということだと思う。普遍主義が崩れたら社会思想の拠り所は国家しかないのだから。それを「左翼も結局はナショナリストか、よかったよかった」と思うか、「左翼までナショナリストかよ!まじか!」と驚くか、それはひとによる。》


https://twitter.com/hazuma/status/833176888621162496
《ゲンロン0に書いたのだけど、現代は要は、普遍主義=リベラリズムが墜落し、個人主義リバタリアニズムグローバリズムか、国家主義コミュニタリアニズムナショナリズムか、どっちかしかなくなった時代なのね。そして両方が同時に過激化してる。ぼくの本ではそれを「二層構造」と呼んでいる。》


https://twitter.com/hazuma/status/833176119301926913
《ちなみにぼくは普遍主義者です。国家主義はダメだと思う。共産主義ではない普遍主義を考えたい。それがなにかはまだよくわからない。こういう発言は政治家や社会学者は許されないが哲学者には許されるはず。「来たるべき普遍主義」ってわけですよ》