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【2019 輪廻転生】

★安楽死を遂げるまで/宮下洋一

安楽死を遂げるまで』(宮下洋一)を読んだ。

自分も必ず直面するテーマだと思っているけれど、きちんとした本は初めて。スイス、オランダ、オレゴンなどの制度化されたケース、日本の犯罪とされたケースなどを紹介。当事者を丁寧に取材しており、その事情がよく理解できた。そしてその方法も。

欧米では安楽死が患者の出来事であるのに対し、日本では医師の出来事であるのだと、ふと気づく。示唆的。欧米の彼らの底にあるのは、やはり、かくもと言いたくなるほどの個人主義。「自分のことは自分で決める」。対する日本では、いわば「相手のことを互いに決める」という感じか。

しかしながら。安楽死はたしかに「どう生きるか、どう死ぬか」という価値観の問題だろうが、実質的には「病気」や「老い」をどうするかというテクノロジーの問題ではないのか? そんなことにも気づかされる。

では、そもそも病気や老いを、私たちはハックできるのか? 永久にできないのではないか。そうすると、病気や老いを私たちはスルーするしかないのか? それとも、いつかできるのか?

 

安楽死を遂げるまで

安楽死を遂げるまで