このところ『世に棲む日日』(司馬遼太郎)を読んでいて、そこでは、黒船以降にわかに勢いづいた長州や薩摩の動きにより、日本の政治は一気に揺れ動くのだが、いま東アジア4月以降の激変もすごいものがある。1980年代末からベルリンの壁もソ連もあれよあれよと崩壊していった時期を思い出す。
その『世に棲む日日』は2巻目、激動の中心は高杉晋作。奇兵隊をそれなりに知っているが、作中に初めて「奇兵隊」という単語が出てきたときは、これかと少し興奮した。『存在と時間』の序論で「現存在」という単語を初めて目にしたときも同じだった。