朝から元気がなかったが、「魔法のエピグラム」というNHKの番組(再)が流れてきて、一休和尚が言ったという上の言葉を聞き、気が楽になった。
それと関係があると思わず、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(ジム・ジャームッシュ監督)のDVDをふいに借りて見た。かなり久しぶりだ。1984年公開。この時代のこのような製作物に、私はセンスとか生き方すら大いに影響を受けたのだと改めて思った。
映画とは人の手がコツコツ作るものであるし、それでいてなおかつ、それを超えて何か不思議なものが出来上がってしまう魔法なのだということを、知らず知らず学ばされたのだろう。そういうことを、たとえば一般的な映画はやっぱり教えてくれないのだ。いやまあ、『タイタニック』でもCGとかどうやって作るんだろうと思うしファンタジーもあるのだが、そういうのとは到底違う何か。
まあとにかく、ウィリーもエヴァもエディもすごくいい。一から十まで全部いい。不覚にもラストを忘れていて、遣る瀬なさと可笑しさが倍増した。
なんとかなるようで、なんともならないんだけど、まあ心配してもしょうがないだろ、というところ……
テレビばっかり見ていて、競馬にばっかり行っていて、一度は映画も見に行くが、それらの画面は一度も映らず、競馬のシーンも全く出ない。クリーブランドもフロリダもただ白い。
TVディナー
「新しい所に来たのに、何もかも同じに見える」
フィルムの残りをつないで映画を作ろう。命の残り時間をつないで人生を作ろう。
いかんともしがたい退屈や空虚をわざわざ作ることだけが、いかんともしがたい退屈や空虚から逃れる唯一の方法かもしれないのだ。
でも、あれから20年が経過した世界は、空虚や退屈ではすまない絶望もまた……