いろいろあって依存症の解説本を読んでいる。
ニコチン、アルコール、薬物(コカインや覚醒剤)、ギャンブル・ゲーム、性行動・恋愛は、依存症との関連が明らかだという。要するにドパミンに代表される報酬系の神経が関係する。
さらに、食べ物、お金、美しい顔、素敵な音楽、ユーモア、良い評判を得る、寄付などの利他行為、子を持つ母親にとっての子どもの笑顔、妬ましい相手がひどい目にあったとき、も、同じだという。
人生の彩りのすべては依存症が絡むのだな、という感想。
ここまでくれば、依存症の1つとして「仕事」が抜けているじゃないかと言いたくなる。
実際、これほど仕事を嫌悪し、これほど仕事を蔑視している私が、夜更けになっていよいよどうしようもなく仕事に着手するやいなや、朝まで凄まじく集中してしまう。ドパミンでも出ていなければありえないことだ。
なお興味深いのは、依存症というのは、ドパミン神経が異常に亢進して喜びが得られるのは最初だけで、やがてドパミン神経の反応は鈍くなり、ますます渇望して中毒は加速するが、もはや喜びは得られず、寂しさや不安だけが募ってくるという点。
そうして、人間の脳や心は複雑なので、生理的なメカニズムに心理的なメカニズムが絡んで、いかんともしがない状態になる。
始めたころの喜びが今夜も得られそうで、目を輝かせてスタートするが、しかしたいして喜びは得られず、もう少しもう少しと思ううちに、何時間たってもやめられなくなり、結局空虚さだけが増大していく、ああタイムラインよ…
★新 依存症のカラクリ/磯村毅