東京永久観光

【2019 輪廻転生】

昭和は遠くなりにけり(民主党)

ピチカート・ファイヴの『さ・え・ら ジャポンasin:B000056FBL。21世紀最初の日(2001年1月1日)に、これをリリースし、そして解散したとのこと。初めて聴く。●日本、日本主義、日本性(日本製)がテーマということになろう。ジャケットは日の丸風。「君が代」演奏もさりげなく入る。心配しなくてもナショナリズムなんて今どき完璧に脱構築されてますよ、何世紀だと思ってるんですか、と言えるだけの実質を聴かせてあげよう。もちろんそうした要素だけでは語り尽くせない多彩さが、ピチカート・ファイヴであり、日本でもあり。横山剣カウリスマキ映画でも注目の)が歌うかと思えば、ふかわりょうがジョークを飛ばす。どの曲も洒落と意外性に満ちて楽しい。●《高度成長ニッポンを外から眺めた昭和のジャポニズムを、いまこの地点から眺め下ろすことで、現在の日本を乱反射させて見せる、という異化作用の仕掛けなのかな。》とは、川崎和哉氏のコメント(『OOPS!』)。●『アメリカでは』というおかしな歌があった。『君も出世ができる』という東宝ミュージカル映画(1964年)で使われたという。《アメリカでは仕事は仕事 遊びは遊び》《アメリカでは自分は自分 人は人》《アメリカではテレビはみんな英語でしゃべる》《アメリカでは笑うときには笑うけど アメリカへゆけば誰も意味なく笑わない》《日本ではほしがりません勝つまでは》《アメリカへゆけば顔を洗うにもコカコーラ》てなことを、雪村いずみデューク・エイセスが歌いまくる。原作詞=谷川俊太郎。なんというか、高度成長期の始めから、こうした自分の姿も、天下のアメリカさんのことも、すでに脱構築できていたということかもしれない。リミックスこそ日本の得意?●これが「ナショナリズムをも題材にした音楽」であるとするなら、天皇在位10周年式典にGRAYを招くなどは「音楽をも題材にしたナショナリズム」ということになりそうだが、それはまったく別のことだとふつう思う。「落書きを利用した反戦」と「反戦を利用した落書き」。←こっちは、ぱっと見、区別できない。