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【2019 輪廻転生】

★「反戦・脱原発リベラル」はなぜ敗北するのか/浅羽通明

 
 「反戦・脱原発リベラル」はなぜ敗北するのか (ちくま新書)


こちらに「私と世界の間に何もない(といい)」と書いたのは、つまり「セカイ系」志向。

たとえばシリアの平和に私の考えが直結してほしい。自衛隊の正義に私の考えが直結してほしい。でも直結しているわけがない。その間に少なくともプーチンがいるし首相がいる。その現実を無視したほうが楽だけれども。

今さらなんでセカイ系かというと、ちょうど浅羽通明『「反戦脱原発リベラル」はなぜ敗北するのか』を読んでおり、浅羽は彼らがまさにセカイ系だ(かつ中二病だ)として批判し、これが妙に説得力があったからだ。

《少しでも戦争へつながる可能性が否定できないと見えたら、その可能性がどの程度かというしんどい実証は怠ったまま、ただただこれを通したら平和日本はおしまいと全力で盛り上がるというこの観念性》(同書 p.218

セカイ系のゲームと同様、善悪・敵味方が単純明快なんですよ、憲法論は》《集団的自衛権の行使容認が是か非かも、憲法に照らしてどうのではなく、必要かどうか、有効かどうかで判断してゆく》《大事なのは、こちらのリアル生活現実世界では、絶対的正解はありえないということ》(227-9)

ちなみに浅羽通明は1959年生まれ。団塊世代団塊ジュニア世代の間に埋もれた世代ともいえるが、どちらにも回収されない思想を紡いできたともいえる。90年代に『宝島30』などで私は知ったと記憶する。宝島30の編集長だっとされる橘玲も世代や「脱左翼」という点では同じ系譜にみえる。

橘玲の思想は『(日本人)』によく現れていたように思う。=リンク先に感想=
http://d.hatena.ne.jp/tokyocat/20141031/p1