東京永久観光

【2019 輪廻転生】

生きがいのトレード・オフ

●《BEST STANDARD〜最良のふつうを求めて》か。うまいこと言う。あいかわらず(というかきわめてコンスタントに)。『ほぼ日刊イトイ新聞』5周年を前にしたダーリンの弁だ。●しかしながら、この5年間にじわじわ商売成分が高まってきたような印象をどう捉えたらいい? 80年代に糸井重里が脚光を浴びたとき「広告は資本の手先だ」とかなんとか一部は腐したが、私はあまりピンと来なかった。にもかかわらず、資本の手先などという問い自体が懐かしいなという今ごろなって、なぜか『ほぼ日』の商売性が気になってしかたない。食うだけの分を稼いだならあとは儲かることより面白いことだけを追いかければいいのに。『ほぼ日』には最初そういう期待をしていたように思うのだ(食わさねばならない家族や社員が増えたのかもしれないけれど)。●これは、創造性の開拓こそが経済性の開拓であること、すなわち「面白い」は実は「儲かる」に等しいことを証明しつつあるのか。それとも、「儲から」なきゃ「面白く」ないだろ、という現在的な信仰を拡散しているのか。どうだろう?●《憎まれないで世にはばかりたい》。う〜む。それはムシが良すぎるというものではないか。「憎まれてもいいから世にはばかりたい」「憎まれるくらいなら世にはばかりたくない」。どっちかしかないなら、『ほぼ日』の本音はどっちだ。●ともあれ、今日の結論。「最良のふつう、ぜひともください、できればタダで」。いや、それとも糸井さんは、単に「売る人と買う人」ではなく「儲ける一人と支払う多数」が本当に友達になれるとでもいった夢に本気で賭けているのか。●《疲れが出てからが祭りの醍醐味です》(今日のダーリン 5.15)。この中毒という「無償」性、あるいは不安な自分への励ましのようなコピーのほうが、より親近感を覚えた。●《そろそろ糸井重里氏が「blog」とか言い出すんじゃないか》(『ARTIFACT』)という予言が、妙にうなずける。