濱口竜介監督『悪は存在しない』を下北沢で鑑賞。何の映画か はかりかねるなか、気まずいコミュニケーションが引き延ばされていき、それがふいに転職相談っぽい展開に転じたので、ちょっと和んでいたら、きわめて不穏で不可解なまさかの出来事に突き落とされ……
巧(父親)を演じた大美賀均は、もともと制作スタッフとして参加予定だったが、役者にスイッチしたのだという。そんなことがあるのか。しかしむしろ、そうしたことにこそ映画のリアリティの源泉があるのかもしれない。
黙々と薪を割る長いシーンが思い出される。後半では、それを私と同じように眺めていた高橋が、私と同じように引き込まれたのか、自分にもやらせてくれと言って実際に薪を割ってみる。そのシーンがなおさら面白かった。ここで高橋や私は和んだ気分だったが、巧はそうでもなかったのか?
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大美賀均のインタビュー記事:
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以下の考察もとても参考になった。