東京永久観光

【2019 輪廻転生】

★谷口一平「「マイナス内包」としての性自認の構成」

雑誌『情況』2024Winter号で、谷口一平「「マイナス内包」としての性自認の構成」を読んだ。高度な哲学知識が求められ私としては正確な把握に苦労するが、とても独創的で明晰な論だろうと感じる。

情況出版 “変革のための総合誌”

 

この論文は、ジェンダーに関わる内容であることが影響して、ある哲学雑誌に採用されなかったことが、話題だった。以下はその経緯のまとめ。https://togetter.com/li/2282072

 

論文から少しだけ引用。
《蛇は、「おまえは谷口一平という一人物として、客観的世界の中に存在しているぞ」とささやいたのである。このとき蛇が同時に、そっと教えてくらたことがまだあるはずだーー「おまえは〝男〟の身体として、客観的世界の中に存在しているぞ」》(p.83)

永井均さんのいわゆる〈私〉をめぐる哲学をいくらかでも知っている人なら(私もそうだが)、このくだりからでも そのつながりが思い浮かぶだろう。

 

それにしても、この論文が『情況』に掲載されるというのは、この雑誌の思想的彩りの混濁を思わせて面白い。実際、重信房子のインタビューも東浩紀のインタビューもこの号には同居している。

 

関連エントリー「東京大学における性的指向と性自認の多様性に関する学生のための行動ガイドライン」 - 東京永久観光