『ダーウィンの危険な思想』初めて読む。冒頭から、私が10年ぐらいずっと思案していることが、もののみごとに言語化されていた印象。ダニエル・デネットは私か! 昨年末に出た新装版。
《当初から、ダーウィンはニヒリズムという名の最悪の出し物を袋から取り出しているのだと考えた人々がいた。彼らは、ダーウィンが正しいのなら、それが意味するところは、聖なるものなど何も無いのだということになると考えたのだ。端的に言えば、何事にも重要な意味など存在しないということである。これは、ただの過剰反応だろうか》ーー第1章「1 聖なるものなど、何もないのか?」より
*
ところでデネットさんは、ダーウィンさんに、風貌が似ているね。
木島泰三さんからレスをいただいた!
デネットさんは、トマス・ハクスリーが「ダーウィンのブルドッグ」と呼ばれたのになぞらえて「ドーキンスのブルドッグ」と呼ばれたりしたそうなのですが、見比べると、(どちらかといえば)それぞれ逆の方に似ている気がします。https://t.co/J0837lmiQmhttps://t.co/E49HtbrBPk
— 木島泰三:『ロボットの反逆』(旧題『心は遺伝子の論理で決まるのか』)翻訳に参加しています (@KijimaTaizo) 2024年9月3日
*
(9月17日)
熟読徐行でページをめくっている。
進化とは何かーー冷静な道筋で考える者なら「どうしたってこう問いたくなる・問わないわけにはいかない」という考察ばかりの詰め合わせであることは、ともあれ報告しておきたい。
「地球上の生命がおよそ偶然的なものだとしたら…宇宙のほかの惑星上の生命について…どんなことが言えるだろう」ーー収斂進化をめぐりこう問いたくなるのも、その常道の1つなのだと確信する。そしてデネットが、その解答として、「自律的代謝」そして「視覚」を挙げたのも、感動的と言うしかない!
分厚い2段の書物でしかも困ってしまうほど小さな文字の書物であることから、予想されることだが、その詰め合わせになった重要事項は、ほかにも、赤文字でマークしたいものだけでも数えきれない。
最初の赤マークを1つ引用。
《宇宙は何かの理由があって存在するのだろうか。理由はコスモスの説明になんらかの知的役割を演じるのだろうか。何かが一つの理由として介在するときに、その何かが〈誰か〉の理由ではないこともありうるのだろうか。あるいはまた、理由ーーアリストテレスの第四のタイプの原因ーーは、ただ人々や他の理性的主体の働きや行為の説明に固有なものでしかないのだろうか。神が人格でも理性的主体でも知的創造主でもないのだとしたら、最大の「なぜ」という問いはいったいどんな可能的意味を持つことができるのか。また、最大のなぜという問いが何も意味しなければ、もっと狭くて小さな「なぜ」という問いはどうやって意味を持ちうるというのか》
《ダーウィンの一番の根本貢献の一つは、「なぜ」という問いの意味を私たちに新しく了解させてくれる道を示している点にある。好むと好まざるとにかかわらず、ダーウィンの思想は、こうした古い難問を解決する一つの道ーー明瞭で力強く、驚くほど多方面にわかる道ーーを提供する》(p.33)
古代から近代までの哲学者の発生と進化を自分が今しも体現している気持ちで読む。
*
ちょっと関連。
盲目のクリスタル職人?
*
(9月24日)
この本を読み終えた者は、ダーウィン教しかもその原理主義に間違いなく染まるだろう。なお、キリスト教やイスラム教の根本が「神が存在する」なら、ダーウィン教の根本は「神が存在しなくてもいい」だ。ーーいわずもがなではあるが。
現代人の多くはすでに神を信じないほう=ダーウィン教に傾いている。ただしそれは単に直感的に超越的に「神を信じない」だけだろう(神を信じる人が直感的に超越的に「神を信じる」のに似て) ところが『ダーウィンの危険な思想』はパーフェクトな思索と理論で「無神論」を立証してしまうのだ!
*
(9月25日)
『ダーウィンの危険な思想』ーートピックはすべて「眼から鱗」だが、私は何しろ言語すなわち「言語って進化論としてどうよ?」で超興奮。チョムスキーの言語生得説が進化の観点との間に齟齬を抱えてきたことは知られているが、デネットは当然そこに疑念を全開にする。
そして私自身、チョムスキーだけに手を引かれたからではないが、ともあれ「言語は特別だ」と思ってきたことは、表明せざるをえない。つまりまさに今、この本を読んでいる2024年秋の今日になって、「いや結局それは錯誤だったかも」と思い直しているのだ。ーーなんというかこう大変な読書である。
ただし。デネットは「自由意志」や「意識」もなんら神秘的ではないという立場なので、「言語はまったく特別じゃないっしょ」と言われても致命的に驚愕ではない。それよりも、「言語がどう進化しえたかって? このようにだよ」と、かぎりなく執拗な説明に初めて触れることになる。空前の有益本。
(ただし、「私が言語は特別だと思ってきた」というのは「言語が神秘的だと思ってきた」という意味ではない。ただし、「言語の役割が人間の知性にとって特別だ」というふうには、おそらく今も思っている)
きょうは ただしくんが何度も出てきたね!
なお、デネットが『ダーウィンの危険な思想』で執拗に説明しているのは、先ほど書いた「言語はどのように進化しえたか」だけでなく、「言語はヒトの進化にどのように破格の貢献をしたか」でもある(また読書途中なので暫定報告)
*
猫ミーム?
猫ミームみたいな猫きた pic.twitter.com/XC02FxE6gY
— ぐんぴぃ (バキ童・春とヒコーキ) (@Mugen3solider) 2024年9月19日
↓
https://tokyocat.hatenadiary.jp/entry/2024/10/14/000000 へ続く