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【2019 輪廻転生】

★孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生/ロバート・D. パットナム 


孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生

朝日新聞の読書欄で「ゼロ年代の50冊 ベスト10」という企画があり、その1冊だった。アメリカで様々なコミュニティーがなぜ崩壊したのか、精緻に分析していく本。統計に立脚し慎重に正解を尋ねゆく姿勢が印象的。ざっとしか読んでいない。以下は同書の全体を反映してはいないが、気になったキーワード的なメモ。

「郊外化」 郊外居住とはプライベートな生活を送ろうとする集合的な努力である。社会学的なモザイクに断片化していった。それは集合的には異質であるが個別には等質的である(つまり、階層ごとに分かれているが、それぞれの階層内は同質、ということだろう)

「自動車」 生活の空間的組み立ての変化による必然的な結果の一つは、私的三角形の頂点間を毎日金属製の箱の中で孤独に過ごす時間が一定の長さで増加したということである。*著者は自動車をコミュニティー崩壊の主原因として見出している。

スプロール化」 社会的分離の拡大と関係している。とりわけ、橋渡し型社会関係資本に対して有害。

「テクノロジーとマスメディア」 1900年には、音楽愛好家は他人の楽譜を手に座り、決められた時間に決められたプログラムを聞かなければならなかったし、もし大半の米国人のように小さな街に住んでいたのなら、その音楽というのは地域の熱心なアマチュアによって奏でられたものであった可能性が高い。

「グローバリゼーション」 我が国の経済構造で徐々に、しかし加速しつつある全国化とグローバリゼーション。地域の銀行、商店、その他の地域に根ざした企業が、巨大な多国籍企業帝国によって置き換えられる。

コミュニティーの崩壊というテーマは、『思想地図β』のメイン特集「ショッピング・モール」にも結びつく。ただし、思想地図βの議論では、コミュニティーの崩壊のみならず新たな形成をもショッピング・モールに見出す論者がいる点は、絶対に見逃せない。

朝日新聞ゼロ年代の50冊 ベスト10」:http://book.asahi.com/zeronen/TKY201004050129.html