東京永久観光

【2019 輪廻転生】

季節の微妙


地下鉄の網棚にジャンパーを置き忘れ、駅に申し出ておいたら、いくつか先の駅で預かっているとの連絡があった。しかしそのジャンパーというのはまさに着古し。もう今季はいくらなんでもと、いやそう思い始めてからの年数がすでに長い代物なのだ。受け取りに出向くときに考えた。このまま放っておけば今度こそ手を切れるのではないか。しかし、と考え直す。冬はたしかに終わりかけだが、まだしばらく寒いだろう。そして寒さをしのぐ方法が私には他にない。

‥‥でもこれは先日の話。いよいよ暖かくなりそう。しかし花粉症は出そうで出ない。

近所のアパート前に、こたつ、オーディオアンプ、本棚などの粗大ゴミがまとめて出ていた。学生さんは新生活に向けて引っ越しの時期か。

春は年に一度だけ来る。というか、私がたとえば18歳で迎えた春が生涯に一回しかなかったように、2006年のこの春というのも、歴史上一回しかないのであることよなあ。

それにしても、私はあまりにも服を買わない。春は春で何を着ればいいのか分からない。去年何を着ていたのかも思い出せない。