東京永久観光

【2019 輪廻転生】

ポジティブではないが、もういい(わけでもない)

●「幸せではないが、もういい」という題名の小説があった(ペーター・ハントケ、元吉瑞枝訳)のを思い出した。「レッツ・ポジティブやで! ダメ人間を治す本」。つまり、自分の性格を変えてよりよく生きたい、が、もういい。●紹介の仕方にどれほど娯楽性を盛り込もうと、紹介された本の実用性はそれを上回ってしまう。そんな恐ろしい現況を踏まえた絶妙なブックガイドだ。●ダメ人間は治したほうが明らかに得。それは痛いほどわかる。しかし、そのためのトレーニングとかコーチングとかがこれほど切実熾烈に求められる社会であることが、つくづく嫌だとおもう人間を治すことはできるのか。治さねばならぬのか。というわけで、次は「それでもダメ人間が治らなかった人」はたまた「そもそもダメ人間を治す気にならない人」のための手引きを! …とまあこんなことをわめく余裕のあるうちは、まだいい。