東京永久観光

【2019 輪廻転生】

イギリスのEU離脱をめぐって


イギリスで「EU残留を望んだ人たち」は「移民に寛容」であり、「EU離脱を望んだ人たち」は「移民に寛容ではない」。こうした構図があることが徐々に実感されてきた。

では両者の違いは何に起因するのか? 「移民が増大しても十分に余裕のある立場」か「移民が増大して余裕を失った立場」かの違いだと思われる。要するに「所得や資産」がたっぷりあるか底をついてきたかの違い。

そしてここで見逃せないのは、「移民には寛容な人たち」が、「移民に寛容ではない人たち」には、寛容ではないことだ。(だからこそ残留支持者は離脱支持者を非難した)

これは何故か。私なりに深読みしてみると―― 移民に寛容な人たちは、「かなり貧困であるが、さほど大人数ではない移民」に対してなら、自分たちの所得や資産を少しばかり分け与えても、痛くも痒くもない。

ところが、移民には寛容な人たちも、「さほど貧困ではないが、かなり大人数のイギリスの従来の国民」に対しては、自分たちの所得や資産を分け与えることが、どうしてもイヤなのだ。

なんと単純な図式であることか! そしてまたもや、「グローバル化によって拡大しつつある国民間の経済格差」という飽き飽きしたキーワードが、正しすぎることに思い至る……


参考になった記事(2つ)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/bradymikako/20160625-00059237/
http://netgeek.biz/archives/76287


イギリスのEU離脱もフランスの国民戦線の隆盛もアメリカのトランプ現象も、同じだと言われる。日本なら、橋下徹に始まる維新(現在はおおさか維新の会)の旋風が、やはり思い浮かぶ。

もしもそれらがポピュリズムであるのなら、「ポピュリズムは悪い」としか言いようがない。しかし、だからといって「ポピュリズムでなければ正しい」とはかぎらない。(甘い薬は必ず悪い薬であるとしても、甘くない薬が必ずしも良い薬だとはかぎらない)

要するに、おおさか維新の会はどこか間違っているかもしれないが、だからといって、べつに民進党共産党社民党が正しいとは限らないということだ。


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それにしても、次は、日本の憲法改正を問う国民投票が同じように世界から注目されることになるのか?