ゴングのような9.11で始まった21世紀も、リーマンのダウンで第１ラウンド終了といったところだろうか。それにしても、あの恐ろしい旅客機の突入（ほかいろいろ）ではビクともしなかった世界経済が、このつまらない証券投資会社の転倒でこれほどあっけなく崩れてしまうとは。
たとえば地球温暖化で環境は本当に破壊されるのか。たとえば日本は本当に侵略国家でしかなかったのか。100％明白な物語が示され全員が納得するということは、もはやあり得ないということだけが、いよいよ明白になってきた。しかし、こうした過去や未来に関する疑問ならば、考える余地も考える価値もある。ツバルや南京で今しも人命がどんどん失われているというわけでもないのだろうから。
対照的に、火の粉がまさに今ふりかかっている問題なら、議論だけしているわけにはいかないだろう。テロ、テロ、テロ、クビ、クビ、クビ、空爆、空爆、空爆。
未曾有の事態とは言うものの、メタレベルでいられるけっこう大勢の者たちは、その幸運を実感しつつ救いの手をさしのべることができる。それと同じく、その役割を自覚しつつ思案の頭をひねることができる。
