東京永久観光

【2019 輪廻転生】

気ままには生きられないのか、気ままには死ねないのか

82歳と80歳の夫婦が火葬場で焼身心中したという福井県大野市の出来事。妻は糖尿と痴呆を患い、夫が独りで介護していたとのこと。さっきテレビで「世界第二の経済大国なのに、なぜ?」と誰かがコメントしていた。「経済大国なのに」というより「経済大国だから」というほうが当たっているのでは、などと思った。

しかしそれ以上に、人間はいつか必ず病気や老衰で死んでしまうという事実。むしろそういうところに注意が向いて、なおさら気分が重くなる。とはいえ、「生きたい」または「死にたい」といった激しい辛さは、さすがに80も過ぎれば薄れていくのかな、などとも普段思っている。でもそうではないのだ。夫がメモを残していて、そうした心境が(ブログのごとく)いくらか察せられる。年齢差を超えてじわり伝わってくるものがある。老夫婦そして火葬場で焼身というところが衝撃的だが、80歳であれ40歳であれ20歳であれ、自死の理由や手段として共通に語れる話なのではないか。

安楽死ということ、そしてそれに先立つ安楽生ということを、もっと真剣に考えたい。でもみんなあまり考えない。つられて私もあまり考えない。

ちなみに福井県は私の郷里。