東京永久観光

【2019 輪廻転生】

エレガントな悪辣


金井美恵子のエッセー集『「競争相手は馬鹿ばかり」の世界へようこそ』。何かにいちゃもんをつけて徹底的に叩きのめすための限りなく悪辣にしてエレガントな語り口。日々ブログをつづる姿勢やその見本テキストにどうだろう。というか、私自身が目指す志向も、きっとこういうものなのだ(教養や才能の差はさておき)。

もちろん金井美恵子の論は、一つのセンテンスのなかで多様な論点も精緻な分析も一つだに漏らすまいとする過激さが、罵倒の過激さに見合っているからこそ凄いのだ。しかもしかも、まくしたてたりぼやいたりしているだけにも見せつつ、謙虚に読みたどる者にはその多様さや精緻さが確実に知れるよう、書き勇みも書き逃しも全くないと思えるところに、いっそう唸ってしまう。

 *

ところで、小熊英二大月隆寛の対立について、周到ながら端的に急所を突いた指摘を見つけた。http://d.hatena.ne.jp/kurosawa31/20031130 ひねりが通常より2回か3回多い絶妙演技。この手のネタは不健康中年男子の専科かと思いきや、「ヘルシー女子大生」の関心も引いているとは。

やや金井美恵子風味かな、ということで。