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【2019 輪廻転生】

トリスタン和音をめぐって

たとえばCコード(ドミソ)で、ミを半音下げればCm、そこにシ♭を足せばCm7、さらにソを半音下げればCm7♭5(Cm7-5)。これはトリスタン和音とも呼ばれる。ワーグナートリスタンとイゾルデ』冒頭の響きがそれだからだという。

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このトリスタン和音について書いてあると聞いて、以下の本を読んでみた。

『音楽の進化史』(ハワード・グッドール)

www.kawade.co.jp


《このトリスタン和音によって、約四〇〇年間維持されてきた西洋音楽の和音の秩序が崩壊を始めた、ここからいわゆる「現代音楽」が始まったという言い方をする人もいる》p.265

とはいえ同書はトリスタン和音にことさら注目しているわけではない。

 

それより私がふと思ったのは―― この特定の和音は、おそらく誰の心も同じような特定のざわつきを巻き起こすのだろう、それはなんと不思議なことか、ということだった。まるでホルモンや神経伝達物質のようではないか。

そんなことから、私としては、かれこれ25年くらい首をひねっている疑問=「長調のCコード(ドミソ)はなぜ明るく響くのか、単調のCmコード(ドミ♭ソ)はなぜ暗く響くのか」という疑問に、改めて向き合うことになった。

ドとミの音程(長三度)は明るくドとミ♭の音程(短三度)は暗い。これには周波数の比が関係していると思える。ドとミは4:5、ドとミ♭は5:6。ちなみにドとオクターブ上のドの周波数比が1:2であることも、よく知られている。(ドとソは2:3、ドとファは3:4)

2つの周波数の比が複雑になるほど、2つの音が協和する度合いは減ってくる。4:5(ド:ミ)と5:6(ド:ミ♭)は微妙な差だが、やっぱり響きは異っている。聞けば誰でもわかるだろう。しかしそれがなぜ「明るい/暗い」あるいは「楽しい/悲しい」といった感情の形容になるのか?

おそらく、あるていど協和するドとミは「快い」と感じ、それほど協和しないドとミ♭は「不快」に感じる、それが理由だろうと最近思うようになった。人の感情は多彩だが核心には「快/不快」があるという説(ラッセル)を先日知ったことから。

 

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上記ツイートに、tadaくんから以下のレスあり。疾風怒濤。

https://twitter.com/tadashinichi/status/1345297267415162880